第9話 ☆刀が刀が人を食べるんですぅーーー刃先がチョコミント味な件☆そして、おばさん構文でつづられる妄想が止まらない件について

 刀剣が生きている、という噂の出どころは宣教が思うように進まず商船の中で逡巡していた私の不安を好奇心に変えた。私は悪魔祓いの仕事をしたこともある。

 どれも依頼者の思い込みから来る恐怖がきっかけであり、刀剣や骨董の類に悪魔や降霊の類が確認できた試しは無かった。

 宗教画には縁があるがそれは我々の心が人間の技巧をもって、神の形や悪魔の形に大小さまざまの額に収まる(または建造物)範囲の中に生み出したものであり、

 それらは我らの教義により限られた範囲の中で生きるのである。


 『これは、日本のダイミョウに教義と信心を『売り込む』チャンスになるだろう』


 商人とは仲間の宣教師よりも気が合うと思う。長旅の中でできあがった友情は、商売と信心が出合い生まれた富が繋げたものだった。大陸を覆う地獄を見てきた私は、人々を救う術を考えぬき出た結論が富であり、混乱を生む疑心を取り去るために聖職者のフリをしている。それは司教には見抜かれているように思うが印刷技術により、敵対者の脅威が増す中で、フリをする異端を迎えるのも仕方のないことなのかもしれない。


 私は船の甲板の上から港町を眺めている。街の人たちは珍しいようで連日連夜の人だかりを作る。その中から少数の塊が船に向かってやってくる、ダイミョウへの謁見の時刻というわけだ。


 キモノという衣服をまとう変わった頭の反り方をしている男の一団を連れて、宣教師の仲間と、商人の責任者が帰ってきた。日本人の男が何やら慇懃に礼らしき所作をしたので、私もとっさに教義に沿った返礼の所作で答えた。男は話を始める。

 少し後を仲間の通訳が追う。


『よう、外人。ちょっと聞いてくれよ。刀が生きててみんな気持ち悪がってる おまえらそういうのを破滅させ、破壊し、この世の終わりと生き地獄を味合わせることができるとキイタ。センメツせよ。センメツせよ。チカラの限りセンメツせよ』


「その通訳で間違いは無いのか」

「無い。日本語はマスターした」

「さすがだな。本当にそんなこと言ってるんだな」

「そう!」


 多分、違うだろう。

 自分の立場を上げるために知らないことにつけ込む敵が、身内の中にいる。

 母国から日本に来るまでの間、第二の司教様の存在は船酔いよりも悩みの種だった。

 日本語に堪能な商人の帰りをまとう。

 中国との交易経験のある彼らはある程度の日本語の情報も得ていると聞いた。

 信じるべきは確かな情報。


※宗教観はうろ覚えで、具体的な事には触れません。

 後で間違いがあれば修正するか、消します。フィクションです。調べてもいないです。

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