再会

「ハリル殿。ご丁寧な挨拶、感謝する。何、キラとは友達になったのでな。送り届ける位、どうと言う事も無い」


レグルは慇懃に頭を下げた。


「そうですか……しかし、何故キラが貴方の様なドラゴンと知り合ったのです?」


「まあ、出会いは偶然だがね……いや、必然だったのかも知れないが。そんな事より、キラは王都ハーナブと王国を救ったのですぞ。それで国王から報償金が出たのだ。その金で母上を医者に診せたら良かろう」


「ハーナブ!? キラ、ウルの街へ働きに行ったのではなかったかね?」


村長は驚きの声を上げてキラの顔を覗き込んだ。


「ええ、そうなんだけど色々あって……その話は後でゆっくりするわ。今レグルが言った様に、金貨を頂いたの。母の治療代を引いて、余った分は村に預けることにするわ。そのお金で、今回みたいに村で困った人の役に立てて欲しいの。私達は今まで通りに生活する分にはさほど困らないから」


「それは有難いが……」


「母と祖母は?」


「あちらにおるよ。二人共、来なさい」


ハリルに呼ばれて人垣の向こうからマナナとタカが現れた。二人共目に涙を浮かべている。


「キラ……!」


二人はキラを思い切りギュッと抱き締めた。


「ちょ……苦しいわ」


「ごめんよ。お前が無事に帰って来てくれて、とにかく嬉しくてね」


タカが泣き笑いを浮かべる。


「とにかく、今話した通りだから」


マナナとタカは再びキラを抱き締めた。


「それで……レグル殿はこの後どうされるね? ワシらとしてはなにがしか礼がしたいが」


村長が訊ねた。


「ふむ……そうだな。別に礼などと言うつもりは無かったのだが、相変わらずここは美しい村だ。オアシスで水浴びなどさせて頂きたいが。そしたら俺は砂漠へ帰るよ」


「そんな事なら造作もない。存分に楽しんでいかれると良い」


「有り難う」



 そう言うと、レグルは舞い上がり、オアシスへ勢い良く飛び込んだ。夕暮れの空を映したオレンジ色の湖面が激しく波立って波紋を作る。


「キラ! お帰りなさい」


ナジャが改めてキラの手を取った。ダンは後ろでその様子を見て笑っている。


「二人共、有り難う。貴方達が居たから、何も心配せずに村を出れたのよ」


「へへ……なあ、後で旅の話を聞かせてくれよな」


「ええ、もちろんよ。じゃあ、また後でね」


三人は円形に肩を組んでお互いの背中を叩くと、そこで解散した。

「じゃあ、取り敢えず家へ帰りましょうか!」

キラはマナナとタカと腕を組むと、路地を歩き始めた。

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