二日目② おうち訪問は突然に

あー、というわけで……

ミケに手を引かれ、よくわからない裏通りに入り、妖しげな飲み屋街を抜け、

怪しい店が立ち並ぶとにかく怪しいところに到着しました。

ミケ、もしかして道に迷ってるんじゃ……。


「着きましたよー!」


−−ここだったぁぁぁぁぁ!!!


俺は、極めて冷静に問いかける。

「えっと、ここが……ミケのおうちってことで、いいんだよな……?」

「はいっ! この建物です!」


ミケが指差したのは、古くさいビル。

……えーっと、仁科探偵事務所……?


「へへ、ユーヤさん、読めますかー? にしな、たんていじむしょ、って書いてあるんですよー!」

「うっさい、そんくらい読めるわ!」

「へー、意外と賢いんですね!」

「意外とってなんだ、意外と、って!」

「まあまあ、早く行きましょっ!」


ミケに引きずられるようにして、俺はビルに足を踏み入れた。

下の階には、他のテナントも入っているようだ。

えー、一階は、占いの館。二階は、最早なんなのかも分からない。


そんなこんなで、俺たちは仁科探偵事務所とやらにたどり着いた。

不安しかない。


「ただいま帰りましたー!」


「おう、お帰り」

返事をしたのは、なんというか、痩せ型で不健康そうで、こう、薄汚い感じの……おじさんだった。


「君、今失礼なこと考えたでしょ」


−−ギクゥッ!

俺は咄嗟に謝る。

「すいませんでしたぁぁぁ!!!」


……


「ははっ、素直な子だねぇ! カマかけただけなのに。気に入った。俺は、仁科徹。しがない私立探偵だ」

「あ、俺は、藤沢祐也、です」

「ユーヤくんか。よろしく」

「はぁ、よろしくお願いします……」

何をよろしくするのか分からなかったが、俺はとりあえず返事をした。


「じゃあ、早速本題に入ろうか。話は聞いてるんだろう?」


−−え? とてつもなく面倒くさい予感がする。



ここまで来たら、もう後には引けないらしい。

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