二日目① 待ち合わせ

そうして翌日、俺は待ち合わせ場所に向かった。

要は、暇だったのだ。


意外にも彼女は早めに着いていたらしい。

肩につくくらいの黒髪、ぱっちりとした二重まぶた、日焼け知らずの白い肌

−−改めて見ると、結構かわいいかもしれない。眼帯と包帯さえなければ。


「あっ! おはようございます!」


彼女は俺に気づいてトタトタと駆け寄ってきた。


「ああ、おはよう。……で、俺は何をすればいいんだ?」

「え? うーん……とりあえず、自己紹介でも!私はミケっていいますっ!

趣味は人助け! 改めまして、よろしくお願いします!」

「ミケ……って名前?」

「はいっ!」


俺は戸惑いながらも、自分の名を名乗った。


「そっか……。えっと、俺は藤沢祐也。現在高2、彼女なし」


彼女……ミケは不思議そうに目を見開いた。

−−やべっ、彼女なしは余計だったか……。


「『こうに』ってなんですか?」


一瞬、思考が止まる。こうに、こうに……ああ、高2って言ったからか。

「高校二年生って意味。そういえばミケは……中学生?」


「ああ! そういうことですか! へへ、違いますよー! 私、ちゃんと働いてるんですから!」


へぇー、そうなんだー。働いてる。ふーん、そりゃあすごい。


「……って、えええええぇぇぇぇぇえ!?」


「わっ! なんなんですか、もー! 今日は私の職場兼おうちに行くんですよー?」


「え……?」

「ほーら! 行きますよー!」

謎の多い少女は、俺の手を引いて走り始める。


「そういえば……」

俺はふと考えた。


−−女子の家に行くのって、はじめてじゃん。


なかなかラノベチックなシチュエーションだが、反応するのも悔しいので大人しくついていく俺だった。


「はぁー、あっちー」


こういうときは、眩しい夏の日差しなんかが気になったりするもんだということを、俺は知った。

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