17さい(と24かげつ)、ついに大技登場しました、必殺技です。



「ヨー、また一緒にやることになったみたいだな」


「ええ、そうですね茂一しげいちさん。愛ちゃんもいませんし、前衛が多めな『時を超えし絆』さんとやるのがベスとかなって。モニカちゃんしゃちょーもそう言ってましたし」


「愛殿がおらぬ今、アタック役はこの達一たついち、でござるな」


「物理はそうなりますね。魔法は春奈さんが担当すると思いますが」


「僕としては、愛ちゃんが戻ってきてから攻略した方が良いと思うのですが……」


「まあそうだよねえ太一たいちさん。愛ちゃんいれば100人力だしねえ。しかしだね……」


「早期の攻略願いが国から出ておりまして。1階だけでも攻略しておきたいのです」


 というわけで不満ぶーたれながら36階の攻略をすることにしました。


「うおっし、物資は1ヶ月分積んだよ。異次元空間の中にある農場と牛子と水場で、どんどん食料と水は補充できるよ」


「いやーもうチートやな春奈っちの倉庫は」


 一夏ちゃんが、いやらしい目で私を見てきます。いやらしでおますなあ。


「一夏ちゃん、一夏ちゃん……チートやないで。チートなんてのは物理無効とか手をかざしただけで敵が死ぬとか、超錬金術とか、ツンデレ最強ブラコン妹とか、最強オブ最強オブ最強とか、そういう感じやで」


「小説の中には異次元倉庫なんかもあるやん?」


「ソンナノハシラナイ」


 そっと顔を背ける私。



 さて、そういうわけで行ってみましょう36階。36階はどんな感じなのかなー?



 再出現オークでした。ハイオークって名前にしましょう、肌の色が緑色から青色に変わってますし。名前も格好いいよね。


 まあ、最大の違いは、どの個体も重武装していることですね。鎧なんか分厚い板金鎧や胸甲鎧っすよ。



「どうしますか。階層構造は迷路ですし。しゃちょー良い意見出して下さい」


「無茶ぶりやめて春奈さん。そうね……」



「達一さんが押して、春奈さんが魔法でたたみかける、というのはどうかしら」



 意外と脳筋な作戦により、突撃が開始されました。


 迷路回とはいえハイオークも階層に見合う強さなので、分散せずに固まって行動します。この広い宇都宮城跡ダンジョンをマッピングしながら進むのは骨が折れますね……



「前方にハイオ-ク発見!一体でござる!」


 達一さんが叫ぶ!戦闘開始!!


 まずは太一さんが突っ込みます!うおおおお!片足タックル!


「グオオ!」


 成功!さすがレスリングの太一さん。え、前ラグビーだったって?知らないなあそんなこと。

 成功したことによってハイオークが太一さんごとぶっ倒れます。どんがらがっしゃーん。

 そこにすかさず茂一の槍と達一の刀が突き刺さられる!すでに太一さんはぐるっと回転してから地面をけって退避完了しております。


「グアア!」


 叫ぶハイオーク!溢れだす血潮!ここで一歩だけ出遅れたモニカしゃちょーが超硬度カトラスを大振りで振り落とす!

 重装備のハイオークとはいえ物理的衝撃にはそうそう耐えられるものではない!!



 ぽっきーん





 あ、折れた。



「ああああしゃちょーのカトラスがあああ」


「慌てはんな!錬成術・五芒星・狐・『えんとろぴーのかくだい』」


 ぐおおおおん!きつねさんがめっちゃ出現して次々とハイオークへ飛び掛かっていく!そして噛みついて爆発!


「zxcvbんm、くぇr!!」


 勝利!



「ふー、さすがに一体だと数の力で圧勝できるね」


「そうやな、しかし折れてもうたなあ……モニカっちの剣」


「ええ、こうなるとちょっと厳しいですね。リバースは結構体力を消耗しますので……」


「回復魔法は温存しておきたいでござる」


「だよねえ。しゃちょーとりあえず私の魔鉄製軍刀を使いなよ。サイズが合わないだろうけどさ」


「アー、モニカさんは温存で行くか。その軍刀は低い身長に合わせてあるからリーチが足りないだろ」


「はいはいはいはい私は小さいですよ!!」


「落ち着いて落ち着いて。ではこの軍刀で上の階段が見つかるまでは凌ぎますね。上の階段を見つけない限りは戻るに戻れませんしね」


 ということでちょっとだけ片手落ちのまま進軍再開。とにかく出口までのルートを構築しておかないとね。処分したハイオークが再出現しちゃう。


 すんすんすーん。比較的楽に処分しながら進んでいたのですが、でました、3体のハイオーク。これ、前衛がギリギリです。一気に仕留めないと。


「連続エネルギー波!!」


 まず牽制として私のエネルギー球の連続投射で足並みを崩します。

 お、見事崩せました。あんまり効いてないけどね。


「五芒星・昆布・『出汁は!一番出汁が一番!!』」


 なんだろう、それ。まあコンブビームがハイオークAを襲う!昆布が巻き付いて身動きが取れない!なんかすごい!名前はすごくないけどすごい!


 これで動ける前衛の数は2体3。

 こっちの前衛以外の戦力は、後衛が2、温存が1、そしてこんこんさまが1。

 ……こんこんさまを憑依させると爆発的なパワーが手に入るんだけど、爆発的に体力を消費するので基本的に道中では使えません。


「一人は私に任せんさい!セット!」


 ここで太一さんのアメフト的な妨害行為だー!らぐびー?れすりんぐ?知らない子ですね。


「ウガアア!」


 良い感じに邪魔ができたのでそのまま一体をフルボッコ!!


「斬月!」

 おお、達一さんの大技だ。ざっくり言って魔法ヨクキレール+抜刀斬りみたいな感じ。ヨクキレール一度しか登場してないけどまあわかるよね。


「三段突き!」


「全体補助魔法、『身体強化』!!」


「六芒星・炎・『うねる炎』!」


 畳み掛ける私達!しかし相手のハイオークも前衛職だったのか、まだ元気だ!しかもコンブビームの抵抗成功によって絡まれていたハイオークが動けるように!!

 形成がだんだんとハイオークのほうに傾いている……。


 ここは一気にいくしかない!!


「ふおおおおおおおおおおお!!みんな退避しろおおおおおおおおおおお!!」


「アー!春奈がまとめて処分する気だ!退け!」



 私は両手を重ねて前に出し、魔力を集中させる!!


「ふおおおおおお!!」


 ハイオークも危機を感知してか、私を倒さんと前に突進してくる!

 それをさせんと一夏ちゃんがきつねの式神を乱れ飛ばす!


 しかし一体がそれをかいくぐり私に急接近!


「させません、どすこい!」


 太一さんが相撲の立ち合いのように、頭から一番近いハイオークの胸に突進!凄いことに重装備のハイオークを吹っ飛ばす!え?らぐびーなど?ごっつぁんです。


「い!!く!!よ!!」


 太一さんが引いて目の前には3体のハイオークのみ!



冒涜的な太陽スピキュール!!」



 ――私の手のひらから放たれた冒涜的な魔力は質量を持った熱となり、秒速5kmの速さで噴射されていく。

 そこには慈悲といったものはなく。そこにはただただ冒涜的な熱によって溶かされる空間のみがあり。――


「ふうううう……」


 ――撃ち終わった私の目の前には溶け切った空間が広がるのみであった。――


「うーん、魔力収束がまだうまくいかないなあ」


「春奈さん、十分です」


「後で練習しておこうかなー。まあ結構先までダンジョンの構造ぶっ壊しちゃったしちょうどいいか。進んでしまおう」


 というわけで構造ぶっ壊しついでに構造だったところを進んで、見事37階への階段を発見。この階はなんとかルート構築を完了したのでした。


 次は37階だ!




 え? 構造壊せるなら壊しまくって進んでしまえって? そう簡単に構造は壊せないですよ。今回はラッキー。後、毎回冒涜的な太陽スピキュール撃っていたら体壊すし。

 普通は専用機械が入って改築するんです。私は機械じゃないやい!

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