17さい(と24かげつ)、数の暴力ってどれくらいの差がある時に言えば良いんでしょうか




 1つ目ジャイアントの巣。しかもどの階層もかなり巨大なフロアを作るこの宇都宮城跡ダンジョンで。

 一体倒すだけでもひぃひぃ言う1つ目ジャイアントが大規模に群れて行動しているわけです。

 これは大変だ……


「おし、こっちは数で対抗しよう。召喚! 軍人さん達! 異次元の扉よ、開け!エーンド、オープン!!


 異次元の扉が召喚されると、中から大量の兵士さんが飛び出してきました!


 そう、早見厚志大佐の判断で兵士さんの一部をこっちに持ってきたのです。本当便利チートな魔法やで、異次元空間の部屋は。


 まあね、いくら軍人さんといえども、駅東ダンジョンを制覇した私達に比べると単独での実力は一歩二歩劣るわけです。でも腐っても軍人、群れて行動するとめっちゃ強いんですよ。


 群れると強い軍人さん300人対単独で強い1つ目ジャイアントおおよそ100体の戦いが始まりました。ホモ・サピエンス対ホモ・ギガンテスの戦いみたい。


 さあさあ、我々もボーッとしてはいけません。出張でばりましょう。4人だからな。



「ウキョロキョキョーン!!」


「フギャフギャ!!」


 最前線に陣取ったんですが、いやーコワイわ。生理的嫌悪がある1つ目という存在、潜在的恐怖を駆り立てるその巨体、そしてよくわからない言語という宇宙的恐怖。全てが足を止めさせてきます。


 しかし腐っても私達は強い、強い女子なんです。負けるわけにはいかない。


「ほおおおぎゃああああ!!」


 対抗して叫ぶ!!


「いや、対抗しなくていいです春奈さん」


「まあ春奈らしいよ」


「ちっさい春奈っちがこういうことやるとか、ギャップがあってかわええなあ」


 なんか後ろから3人のつぶやきが聞こえてきますが無視無視、軍刀持って突っ込みます!! 両手持ちでの左袈裟斬り!

 1つ目ジャイアントは私の突進斬りを避けられずに右手を吹き飛ばされた!! これは放っておいても死ぬな。


「てい」


「リバースフルケア」


「陰陽道、『金色の光』」


 皆も勝手勝手に攻撃を始めていますね。どんどん暴れるぞー☆



 次の目標に超速の軍刀を手に持ちながらの体当たり! ズボーッと軍刀が腹部に深く刺さる! そこで横薙ぎをして腹をかっさばいたーっ! 崩れ落ちたところで首跳ね!! 2匹目リタイアだー!


 まだこちらのほうが余裕あるかな。宇都宮城跡だから戦争由来のダンジョンなんで、ダンジョン内部の敵も強くなる気がするんだけどね。


 サクサクと皆で10体くらい処理。その間に兵士さんが50グループ(300人を6人編成で50グループ)で一体ずつ処理。14人ほど兵士さんが即死したっぽいですけど…… 一撃があるからねえ


「それでも倒す調子がいいので、春奈、ダンス踊るってよ」


 ズンチャカズンチャカズンチャカ


「春奈調子こきすぎだ――うしろ!!」


 へ?


 後ろを振り返るまもなく突進を食らって、跳ね飛ばされたところに棍棒の一撃が。




 ボキィ




 あ、首折れた


 ぽわわーん


「あれ、ここは?川が見えるね。河原では子供が石を積んでいる。うーん、うーん?」


「春奈ー春奈ーこっちだぞー、おーい、おーい」


「おおう、あれはお母さんと父さんお姉ちゃん?まってー私もそっちにいくー」


 川をざぶんざぶんと渡りはじめまして


「もう少しでそっち側に着くよー」


「おーい、おーい、おーい」


「あと少し――」

【これだから春奈は。神殿建ってなかったら危なかったよ。パク】

 モルスァ!?首根っこを巨大なきつねに咥えられたんですけど!?


「父さん! お母さん! 助けてよう!」


「おーい、おーい、おーい」


「……反応が変わらない。ちょっとおかしくない?」


 ざぶざぶと元の岸に戻されながら、眉に唾つけて見直してみると……


「鬼やないかい! 騙したなあ! 空間圧縮砲弾ディメンションコンプレクスショット!」


「ひでぶ!?」


「ショット! ショット! ショット! お前らは本当の家族なんかじゃない!本当の家族はもういないんだ!いないんだー!」


 パァンパァンパァン!鬼は超強力な圧縮砲弾によってミジンコになりました。


「本当の、家族…… ぐすんぐすん」


【もう既に新しい家族はいると思うんだけどなあ】


「新しい家族?」


〈私達がいますよ〉


 後ろから懐かしい声が聞こえたので振り返ると、そこには大天使の姿をしたモニカちゃん、かっこいいknightの姿をした愛ちゃん、和風装束をきた一夏ちゃんの姿が


 ああ、そっか。そういえばそうかもしれない。そうだね。うん。お父さんお母さんお姉ちゃんには、いつでも会えるから。まだ会いに来ないよ。またね。


 ぽわわーん


「……なさん? 春奈さん? まだ死んでないわ。死んでいてもこれで…… パーフェクトリジェネーション! うう、魔力残量が無くなって動きが……」


「1つ目ジャイアント・ハイは処分しておいたよ。凄いツッコミを受けたね、春奈」


「あー…… ここは…… みんな本物かな。あー、うん、動けるっぽいかな」


「アホやなあ」


「春奈さん、今生のお願いです…… 私の胸をもんでそして私を弄んでください…… 私はもう……」


「あー、うん、一回だけやるわ。ちょっと馬鹿すぎた。あとまだ死なないから。今生のお願いじゃないから」


「ちっ、一回だけか」


「いやいやいや。えっと、取り敢えず魔力残量回復薬グレードX飲んでね。これでおとなしくすればすぐもとに戻るよ」


「く、口移しがよいでほぎゃぁ! 冗談なので鋭いツッコミは無しでお願いします……」

「モニカちゃんのは冗談に聞こえないから怖いんだよねえ」


「またハイクラスの1つ目ジャイアントが現れたね、一夏行くよ!」

「はいな!」


 さっそうと2人は駆け出して、1つ目ジャイアント・ハイとその取り巻きジャイアント3匹に向かっていきました。


 最強前衛の愛ちゃんと、式神によって自在な攻撃を生み出せる超強い後衛一夏ちゃんのコンビは結構良いものがありまして。一夏ちゃんのおきつね式神って誤爆・誤射が殆どないんですよね。さすがこゃーんや。


 愛ちゃんがスパスパスパーっと切り刻んでいるところをカットしようと敵が近づいても、そこに一夏ちゃんの式神が待っているわけで。

 逆に一夏ちゃんを狙おうとしても愛ちゃんがすっと下がって狙わせない。

 止めの一撃は愛ちゃんの首跳ね、一夏ちゃんのごん太ビーム『コズミックバスター』と両方持っている。隙があんまりないです。


 シゲちゃん達一ちゃんいらないのでは。いや、いりますけど。



 私達強い組が1つ目ジャイアント・ハイを相手して、軍隊がノーマルな1つ目ジャイアントを相手するという分担作業が成立して、効率が一気に改善。ドンドンと屠っていきました。


「おるぁ!! これで最後かな。春奈、32階にスイッチはありそう?」


「残念だけど、33階への階段にスイッチは見当たらないよ……」


「一度皆様を収容して、休憩して士気を養ったほうがよろしいですね」


「うわー、生きて帰られるんかなあウチ。33階は楽だといいんやけど……」



 モニカちゃんの提言を軍隊も受け入れ、大休止を入れてから33階へ挑むことになりました。

 実質この集団のリーダーはモニカちゃんだなあ。

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