17さい(と24かげつ)、刀打ちってかなり時間かかるんですね
「来たか」
「来ちゃいました。ボスですか」
「如何にも。私は
そういうと長尾顕長はするすると舞始めました。物悲しい舞ですね……
〽「
「見事でござるな。望郷の念に浸った歌でござる。歌は
「詳しいな。さてと」
「儂は強いぞ。この
「僕――」
「もちろん拙者でござる。全力でお相手致そう」
そういうと2人は一礼し、中段に刀を構え、いい感じの間合いに入りました。なんだっけこの間合。覚えてないんだよなー……
「てやぁぁぁぁぁ!!」
まず入ったのは長尾顕長、一気に小手を狙いました。あー手首にちょっとでもかすれば握力は消えて、長期戦になれば失血で不利ですもんね。坂本龍馬がよくこの戦法を使ったって聞いたことがありますね。聞いただけですが。
「ふんっ!」
それを達一は鍔受けして防御。そのまま突きを放ちました。ギリギリの力加減で相手の圧力を弾いてるんだね。この突きは外れて、刀をあわせ合う距離に。
「ほあぁぁぁ!!」
達一は後ろに引きながら上段打ち。これを長尾顕長は超高速に上段まで刀を持っていき防御。そのまま右袈裟まで強引に持っていく。それを達一はスウェー回避。
これは……凄い。攻防一体とはこのことですか。
「きぇぇぇぇぇ!!」
「あたぁぁぁぁ!」
「とおぉぉぉ!!」
「がぁぁぁぁ!」
ああー、うん。いやー。太刀筋が見えなくなってきた。どうにもならないです。声だけしか聞こえてこない。
これが駅東35階踏破の力ですよ。
それと、歴史上実在の人物は階数関係なく強いですね。
「ほあぁぁぁ!! あぁぁぁぁぁ!!」
「ぬぅぅぅぅぅぅ!!」
パキーン!!
ああああ、タツちゃんの刀が折れた!!
「これは……どうなったの」
「儂の負けじゃの。最後に右腕の筋を斬られた」
というが早いが血液が右肘からぶわぁぁぁ。
「ふむ、いい試合じゃった。死ぬ前に――」
「死なせません、パーフェクト・ケア!!」
あーこんこんさまがスマホに入ってるから1段階上の魔法が放てるんだね。ありゃあ完全回復だわ。
「儂はボスなんじゃが。まあよい、堀川殿、頼めるか」
さっきまで頭を下げて不動だにしなかった刀鍛冶さんがやっと動き出しまして
「御意に。最高の刀を打ちましょうぞ」
「頼むぞ、儂は……還れそうだ。いやはや、このべっぴんは彗眼持ちじゃな」
「経験がありまして」
というと長尾顕長は天に還っていきました。山姥切国広を持って。おいぃ!? ま、まあ、これでボスは撃破かな……?
★
「じゃあ、作っていただけると」
「うむ。ダンジョン合金で作り上げる最高の一振りを、この
「やはり堀川国広。堀川国広といえば
「太一さんお詳しい」
「説明おじさんなので」
「ほえー。それで、山姥切国広を打つんですか?」
「山姥切国広は当時の最高技術を駆使して作った人殺しの兵器ですぞ。今の時代に合うようにダンジョン合金で作り上げましょう」
「玉鋼で作らないと刀ではないのではないですか?」太一さんそれは無粋なツッコミでは
「そんなのに拘ってしまっては…… それはただの工芸品ですぞ。玉鋼を使った理由は当時最高の兵器になるから。自分が最高の素材で最高の刀を一振り作る、山姥切を超えるような最高の刀を。ただそれだけですぞ」
といってタツちゃんと少々会話を重ねて細かいところを詰めると、タツちゃん太一ちゃんを弟子にカンカンと打ち始めたのでした。
★
打つのに1ヶ月ほどかかりました。そこから仕上げに10日。うはー冬になっちゃった。ぐぬぬ、まだ17さいでいたい。
「これでよいでしょう。これ以上は使いながら調整してくだされ」
「わかったでござる」
「それでは私も還りましょう。中々に有意義な最後でしたぞ」
といって堀川国広は還っていったのでした。
「還ったかー。これで残ったのは」
「最高の『国広』と」
「最悪レベルで貯まっている、攻略しろのクレームですね」
「ひゃああああ」
まあ、これで戦力アップ。今度こそ行けるぞ行けるぞ
宇都宮城跡ダンジョンに!!
――――
*舞の句は香居様のアドバイスを参考にしました。ありがとうございます。
https://kakuyomu.jp/users/k-cuento
**山姥切国広、長尾顕長、堀川国広の流れや知識は倉谷みこと様のご助言を参考にいたしました。みこと様、出来た代物が玉鋼を使う純粋な刀じゃなくてごめんなさい。
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