17さい(と24かげつ)、3年目でいきなり大惨事です



 帰ってきてから、元モニカンパニーのミカ達にボッコボコにされました。理由は言わずもがな。狙われたのが私だけってのはあれだけど、これは甘んじて受け入れました。私達は彼女達の大好きな人を瀕死にさせたんだもの。




 さて、モニカちゃんですが国立駆除人病院というところに入院、手術することになりました。

 手術の内容は、接着剤でくっつけたところを、一度接着剤を取り除いてから洗浄、繋ぎ直すというもの。これやらないと体内に異物が残っちゃうからね……


 手術は成功しましたよ、幸い傷もないです。諸々込みで300万かかりましたけど。

 体内をダンジョンで作った特殊液体でとはいえ洗浄するので全身麻酔していても術後めっちゃ苦しいそうなのですが、モニカちゃんは泣き言1つ言わずに耐えてくれました。


 どっちかって言うと



「ごめんなさい、私が不甲斐ないばかりに……」


「そんな事言わなくていいんだよモニカちゃぁぁぁぁぁん」なみだじょばじょばの春奈



 力不足というのを謝ってばっかりでしたね。そんな事ないんだよモニカちゃぁぁぁぁぁぁん!!



 ぶっ倒れた私の方は


「魔法が使えないんだ」


「そうなんだよ愛ちゃん……使いすぎたのかも」


「モニカが帰ってくるまでに治るといいね」


「あれ、呼び捨て?」


「駄目かな?」


「むしろご褒美です!」


「あはは。ま、今は休む時期だね」



 というわけでまさかの魔法封印という事態に。魔法が使えないってことは異次元空間も呼び出せませんからね……かなりまずいです。



 そういうわけでこの企業連合は一度休むことになりました。愛ちゃん以外はボロボロ。愛ちゃん強い、さすがヒーロー。




「あああああコスメがないよおおおおおお異次元の方においてきちゃったああああああ」



「ああああ包丁とか全部あっちだああああああ」


「ああああああ下着ぃぃぃ」


「ああ服」


「靴」


「」


 あっはっはっはっはっは(泣)ズボラな性格がこんな所で悪さするなんて(泣)大体を買いなおしました……



 11月の1、2、3日に行われる宇都宮餃子祭りも無難に参加、もう12月も末です。


 2年目中に35階まではいけませんでしたね……


「モニカちゃんの回復を祝ってかんぱーい」


「「かんぱーい」」


「今年は宇都宮ロイヤルホテル38基にあるRestaurant「レイちゃんの料理屋さん」にしてみました。極上の北海道料理をご堪能あれ」


「なんで北海道なの……」


「お、モニカちゃんがいつもの口調に戻ってる」


「ですます調なんて戦闘のときにしかやらないわよ」


「集中するとですますとか、男性が大喜びしそうだわ。でも諸般の都合により常時ですます調になってください」


「しょうがないですね、わかりました」


「まあ美味しいよね北海道の食べ物」



 非常に楽しい会になりました。北海道の食べ物本当美味しいですねえ。いくら、サーモン、寿司、米。ほかに色々。ジンギスカンとか?



 年明け!私にとって3年目です!1月は全休です、魔法がどうにもならないから。


 2月になって、軍人の宮本遙ちゃんから助っ人依頼が来まして。まあ私が魔法使えなくても3人の物理攻撃強いですし、遥ちゃんの所属する『特殊ダンジョン攻略作戦群』さん、そもそも軍隊の中で日本一強いので問題ないかなっていうのもあり、参加することに。

 ちなみにここと最強を争っているのは日本防衛軍統合本部隷下『第一空挺師団』さんです。こっちはダンジョンむけじゃなく外の国からの防衛という趣が強い所なんですよ。それでも最強を争うんだよー強いねー。



「というわけで遙香ちゃんよろしくお願いします」


「私を遙香ちゃん呼びするのは春菜さんくらいですね…… 。えーでは詳細を確認します。今回攻めるのは日光中禅寺湖付近の地上型ダンジョン20階です。17から20階の討伐を依頼されています。17階はユバユーバというモンスターであることが確認されています」


「すご!ユバユーバはめちゃくちゃ美味しい湯波ゆばの化け物じゃないですか!しかも17階のユバユーバ!食べましょう!」


「今回は資源採取ではないので……」


「残念無念」


「また駆逐『するな』と言う命令を受けています。なので放置する形になります。3人は帰りに少々頂いて帰っても大丈夫です。我が作戦群は規律に関わるのでそういうのは一切おこなっていませんが」


「軍人は違うねえ……じゃあ行きますか」


 ということでダンジョンに。15階に滝が流れていたということ以外はなんのイベントもなく17階に。


 いますねーユバユーバ。巻湯波、四角い乾燥湯波、生湯波に刺身湯波などなど、湯波の形や種類が大体揃っています。

 みんなそれぞれ特徴があって美味しいんだよね。

 うん、食べることしか考えてない。


 ユバユーバは結構凶悪なモンスターなのですが食べ物を前にした3人にとって食材でしか無い。

 行軍の邪魔になるユバユーバだけ『収穫』して18階へ。


 18階、モンスターは中禅寺子でした。水風船の形状で、中に中禅寺湖の水が入ってるというモンスター。中禅寺湖は水道水の水源なんですよ、もちろん浄化しないと使えませんが。


 つまりダジャレをつけられた水風船。中禅寺子。中禅寺湖。

 かわいそうすぎるだろ!!!しかも水風船だから被弾即破裂するんだぞ!!!軍刀で破裂させて楽しんだわ!!!


 はい、19階。修験者です。久しぶりにきました人間型モンスター。山伏の格好をして木の杖を持ち、法螺貝ほらがいで周囲の修験者を呼び寄せる存在。

 人間系なので装備品ががとても高く売れます。洋服と杖、法螺貝はそれなりの数を集めたいです(お金お金お金)


 喋ってくる言葉は結構宗教的政治的に過激なので、私は中立を保ちたいから『エリーゼのために』でも音楽流しておきます。


 たららららーたららーたらららーたらたらたらたらたたららー


 ふう、駆逐しました。ある意味厄介なモンスターですねえ。

 かなりの戦利品は獲得しましたけれども。

 今回軍人さんとの合同なので後方支援はバッチリ。

 補給部隊に渡しておきました。軍人さん居なければここまで来れなかったよ、異次元に頼り切ってたし。



 杖は両手持ちの木刀みたいなものなので、軍刀で相手するのはちょっと疲れました。魔法に頼りきりであんまり使ってなかったからね。しかも対人戦闘用の訓練あんまり積んでなかった。33階の成長効果でゴリゴリ押し切った感じ。


 私はともかく、かなりまずいのはモニカちゃんです。力不足って思っちゃってるから、思い込む影響でますます力が出ない。斬られたトラウマか何かはわからないけど積極性が皆無。目にも身体にも覇気がない。これはかなりやばいっす……


「春奈さん、モニカさんの動きが目に見えて悪いのですが……」


「自分は力不足だって思っちゃってるからね、それを取り除かないとどうにもならないと思う」


「わが部隊で訓練しましょうか?」


「それは逆効果だと思う。おまえつかねーからここできたえろや、って捉えると思う、今のモニカちゃんだと。最悪離脱されちゃうよ」


「日本最強企業連合の一角に位置する3人なんですけどね……」



 そんな事を話しながら20階。なにがでますかねぇ


 ボス部屋は必ず固定の部屋が出ますが、そんなボス部屋に居たのは


 天狗か。日光だもんね。


「おーうおうおう、クソ雑魚が1名おるのう、がははははは」


「!……私ですか」


「モニカちゃんじゃないよ、魔法が使えない私だよ」


「女性の馴れ合いは美しのう美し美し。そして手を取り合って死んでいくあー素晴らしき女の友情。裏ではつかえねーと陰口を叩いておるのにな」


「知ったふうな口を聞かないほうがいいよ」


「問答無用、射撃準備!撃て!」


 BBBBBBBBBBAAAAAAAAAAMMMMMMMMM


「うげ、シールド魔法張って全弾防いだよ!?」


「第2斉射!!」


 BBBBBBBBBAAAAAAAAAAAMMMMMMMM


「弾かれたっ!!」


「邪魔ジャの、止まれ」


 ピカーンと光ると、軍人さんと愛ちゃん、私が全く動けなくなりました。やっべぎりぎり息はできるけどやっべやっべ。


「な、なんで私だけ動けるんですか……」


「ほう、効かなんだか。まあ良い、雑魚雑魚精神じゃワシには勝てん、嬲って犯して嬲って犯し殺してやろう。天狗に抱かれるんじゃ、名誉だぞ」


 てめえブッコロ!!


「わ、私では……私では力が及ばない……」


「ほれいくぞ金髪!!」


 ドコボカゲキガスドカバキドカドカ


「ぐ……う……」


 ボッコボコにされて倒れるモニカちゃん。こんのやろうううううう


「何も出来なんだのう。…………そこの軍刀持ち、魔法が使えるな」


 つかつかと歩いてきて


「ふーむ、かなりの魔力じゃ。脳みそをいただこう。さすればワシの魔力も増大する。安心せよ、最大限いたぶってから食ってやるぞ」




 動けないからボッコボコのバッキバキ。腕は折れて肋骨も何本か折れてる。足は筋を斬られた。33階突破の私が20階の天狗にここまでされるなんて。これは魔人級の規格外だ……


「今の心境は?といっても息するのが精一杯の停止魔法をかけてやったし、肋骨折ったから息するだけで激痛なはずだがのう、それではまず性的にいただくとしよう」


 いやあああああああ


「……さんを、春菜さんをいただくのはこの私よおおおおお!!」


 立ち上がり突撃するモニカちゃん。


「ほーう私を先に食べてくださ、覇気が変わったな、全力で行く」


 天狗は持っていた杖を両手持ちしてモニカちゃんを迎撃!


 カン!カン!カン!


 幾度も剣と杖が交わる!


「えい!やあ!はぁぁぁぁ!!」


「むう……」


「リバースヒール!」


「ぐ、体力回復を反転させて使いおったか……!ならば!」


 天狗はバックステップから空に舞い上がり、何かを唱えた!!


「しねぇい!落雷!!」


「…………ふっ」


 雷がモニカちゃんに直げ……するかと思ったら180度反転して天狗に襲いかかった!なにがどうなってるんだぜ……?


「グワーッ!」


 雷を受けた天狗は落下!全身に渡って感電したらしく痙攣をしている。あのレベルの雷受けてまだ死んでないとか原理がわからん……雷つまり感電は完全無敵の最強技なんですけどね。


「甘い、甘いわよあなた。私が回復反転系を使った時点で反射系のカウンターマジックや、雷も跳ね返す法則反転や経路反転を使うと考えないと。驕ったのが失敗ね。じゃ、死んで頂戴」


「リバースフルケア!!」


 その魔法の赤い輝きが天狗に到達した瞬間、我々の謎の拘束が解かれました。死んだっぽい。



 勝利!



「春奈さん!」


 私に駆け寄るモニカちゃん」


 涙をポロポロ流しながら


「ごめんなさい私が弱いせいでこんな重傷を」


「モニカちゃんは弱くないよ。天狗退治、おめでとう」


「春奈さん……!」


「もう弱いと思っちゃ駄目だよ。即死技なんて私も愛ちゃんも持ってないんだから」


「……はい!」


 天狗の戦利品を回収した当たりで私の意識はなくなりました。激痛に耐えられなかった。

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