17さい(と12かげつ)、最近魔法ばっかりなので軍刀が泣いてます

***戦闘回なので4500字くらいあります***


 魔法大戦といってもやることは結構単純です。


 物理系魔法魔法の銃弾マジカルバレットを拡大巨大化させた魔法の大砲マジカルキャノンで遠距離砲撃をくらわせて塔を壊し、角についている円塔もぶち壊し、砦の壁を削るだけ。相対する距離は一番接近している補助塔との間で600mくらい。まあ削るだけではあるのですが…… 。


「マジカルキャノン!徹甲榴弾!5連射!いけぇ!!」


 ドドドドドーン


 私の背の半分くらいある巨大な魔力の塊が5個も出現、塔に向かって放たれる!


 ドガガガガガーン!


 放たれた5つの砲弾は一番近くの塔の中腹に当たり爆発!!補助塔が崩れ落ちました!


 どうにかこれで一番弱い塔、補助塔の一つを破壊しました。これだけで3日かかってます。

 削るだけと言ってもそれはとても難しいのです。魔力全開で発射しているとはいえ、大砲一つで崩そうというわけなので。本物と違って連射は効くけどさあ……

 魔力は無制限じゃないし、魔力補給のために半日くらいやったら30階に降りて異次元空間で休まないといけませんし。


「そもそも魔法防御プロテクションが塔などにかかってるし修復魔法リペアウォールは常に発動していてじっくりと修復される。相手も反撃で撃ってくるしなあ。2時の方向に魔法弾、こんこんさまお願い!」


【カウンターシールド!!】


 ぽかっと念力サイコキネシスだけで出来ている見えない盾を具現化させると、それで思いっきり魔法弾を『打ち返して対応』してくれるこんこんさま。なかなか頼りになります。

 打ち返された魔法弾は相手の円塔に当たって爆破、円塔に少し傷が付きました。


「こんこんさまって名前をつけたらとても働いてくれるようになったねえ」


「うん、名がつくと世界に干渉しやすいんだってさ」


「可愛い名前ですよね、こんこんさま」


「リズム感あるよね」


 そうなんです、魔法大戦始めるので、私以外に魔法が使いこなせる狐の神様に頑張って欲しいとの願いを込めて名前をつけてみたら、めっちゃ働いてくれるようになったんです。

 なんでも狐は家族で子供の面倒を見るからだそうです。あまり名前との関連性がないような、ってだれがこどもじゃ!私は17!(とXXヶ月!)



 反撃は魔法弾だけではなく。矢とか飛んでくるし突撃隊が攻めてきたりもします。

 矢は設置式の盾(ダンジョンの土を魔法で練って固めたもの)で防いで防ぎきれないものは愛ちゃんのシールド魔法ではたき落とし、突撃隊は愛ちゃんモニカちゃんが撃退しています。強化ゴブリンなのでモニカちゃんの回復魔法が時たま活躍していますね。


 はぁはぁ……華麗に動く愛ちゃんは美しい……モニカちゃんの剣技は美しい……はぁはぁ……(ウットリ)



「おっと意識が。どんどんやろう。次は砦の角にある円塔だね。突撃するためにも2つは落としておきたいよね。マジカルキャノン!徹甲榴弾!6連射!やれぇ!」


 ドドドドドドーン


 ドババババーン

「あー2発アンチマジック、無効化された。円塔には強めの防護魔法がかかってる。言うてゴブリン、されどゴブリン、だねえ」


「先に門狙えないかな、突撃隊が出てくるのを防ぎたい」


「んー、そうすると射程距離を考えると2つほど補助塔を壊さないと駄目だよ、ちょっときついなー」


「射程距離の短い直射じゃなくて、射程距離のある曲射に出来ないの?」


「今の所魔法防護突破するのに速度マシマシにして衝突時のエネルギーを増加させてやってるからねえ。曲射だと無効化されやすくなるかもしれない。後狙いがすごく大変になっちゃうねー魔法のイメージも大変だよ」


「とりあえずやってみましょうか。遠いほうが何かと安全ですし」


「はーい」


 狙いを円塔から門へ変更。距離は……うーん遠いなあ、本当巨大な空間である。これが宇都宮駅東のダンジョン内部に存在してるんだからねえ、不思議。


射程増加レンジ・エクスパンデット、マジカルキャノン、まずは1発、はっしゃほああああああこんこんさま私の脳内なかにはいらないでええええええ!」


【発射角度修正、初速変更、注入魔力量調整、発射】



 ドーン


 ドカーン



「門に直撃!いい感じ!」


「これで楽になりそうですね」


「私は楽じゃないよ!!!あああああこんこんさま私を勝手に動かすなあアアアア」


【どんどんいくよー!】


 ――――


「ぷんすこ」


 プイッ


「怒らないでよ春奈ちゃん。ほら、30階にいるんだしお寿司食べようよ」


「ぷんすこー!」


 プイプイッ


【春奈必死すぎワロタ】


「スラング使うのやめてくださいこんこんさま」


「……まあ、門を破壊したし補助塔は沈黙させたからいいけどさあ……脳内に入ってくるのは、あれは脳内婦女暴行に近いよ、うん」


「どんな感じなのでしょうね、私ちょっと興味が」


 目をキラキラさせて言われても困る……


「モニカちゃんドスケベだ」


「この後の戦略はどうしようかな。五角形の砦の南西側の攻略が出来た感じだよね、円塔は未だに残ってるけど周辺の連絡通路と壁はかなり崩れてる」


【円塔を破壊した後に、迫撃砲みたいな高角度で高い弾道の弾を発射する砲を使って砦内部を破壊する。天井の関係で、壁にあたったら一度だけ反射する弾を作らせるよ。そして壁を破壊して突入。これしかない】


「またヤラれるのか、私の脳内……」


 ――――


「ほああああああ」


「ぎゃああああああ」


「ほええええええ」


 ――――


「ゲッソリ」


「これで内部を破壊し始めて一週間だね。残りのゴブリンの数はどれくらい?」


【ざっくりと50くらい】


「2/3ほど削ったんですね。もう突撃隊も出てきませんし、籠城して援軍でも待つのでしょうか」


「上の階から援軍とか来ないよね、不思議」


【駆逐されない限り回復するから、回復を狙ってるのかも】


「なんにせよ早く駆逐しちゃいたいね、じゃないと戻るに戻れないよ。この階は絶対駆逐しないといけないし」


「頑張りましょう」


「……ねえ、ちょっと、ねえ」


「どうしたのこんこんさまの依代春奈ちゃん」


「どうしたもこうしたもないよ!私!そろそろ!過負荷で!死ぬ!さっきも全然私を勘案してないし発言機会がなかったし!!」


「はい、エナジードリンク。春奈ちゃんはどれがお好みかしら」


「もう飲み飽きたわああああああ!!」


「後少しだけだから、頑張ろ?」

 腕をグッ


「く、可愛い……でも駄目です、過負荷はどうにもなりませんー」


「最後は実弾バズーカでしょうか」



 第1次魔法大戦最終章、実弾の殴り合いです。


異次元の扉よ、開け!エーンド、オープン!!、じゃあモニカちゃん輸送お願い、私は空間出し続けないといけないから」


「僕が守りを固めておくね」


「素早く行動いたします」


 そうしてモニカちゃんが持ってきたのは大量の対戦車ミサイル。対戦車向けですが砦破壊にも十分役立ちます。



「狙ってー、撃てー、よーそろー」

 私が指揮官となって指令を出していきます。2発ずつやね。


 パシュッパシュ!


 ドバーーンドバーーン


「いいわあ実弾兵器ミサイル。持ち込んだものでも射程距離4km位あるからこの階の端から撃って端に当たる。私とは何だったのか」


「誘導できますし、当たる直前に上昇して上から狙うトップアタックを利用して効果的に壁の内側や砦内部を狙えます。トップアタックではなくそのままぶつけてもいいですね。」


 ごぶごぶに何もさせないまま一方的に蹂躙。いやー現代兵器って素晴らしい。


 推定10人ほどまで減ったところで内部に侵入しました。遠距離は飛んでこなかったなあ。


 内部ではひときわ大きい武者姿のゴブリンと魔法使いっぽいゴブリン、後下っ端数名が必死に儀式を行っていました。


 悪い予感がするので


射程拡大レンジ・エクスパンデット空間爆破ディメンションボム!!」


 これで『空間を爆破』、空間の破片とともに爆風で儀式を駄目にしました。思いっきり爆風を発生させて吹き飛ばしたから下っ端くらいの軽いゴブリンは飛ばされちゃいましたね。




「やーいやーいばーかばーーか」


 私の挑発!


「オンドゥルルラギッタンディスカー!」


 怒った武者ごぶ、私への暴力的突進!


「そんな幼稚な行動じゃ私と愛ちゃんは倒せません」


 モニカちゃんが割って入る!キャーカッコイイ!


 両者の剣と剣がぶつかる!


 ガキン!


 押し勝ったのは意外なことに武者ごぶ!モニカちゃんも剣も吹き飛ばされてしまった!

 武者カスタム+この階層のボス的な存在+強化ゴブリンという感じだから31階オーガくらいの強さはあるのかもしれないッッッ。


「オテ゛ノカラタ゛ハホ゛ト゛ホ゛ト゛タ゛!ダガ!オレァクサムヲムッコロス!ウゴオオオオ!」


 武者ごぶはそう言い放つと全身から湯気を放出するッ。というか何語を喋っているんだ。


「一時的に身体能力を大幅に向上させる『凶化』か……久しぶりに見たよ。春奈ちゃん、モニカちゃんを拾っておいて救出して介抱しておいてね」


「わかった。もにかちゃあああああん!」


 漫画走りでモニカちゃんの元へ。


「あばばば出血してる。モニカちゃん、モニカちゃん!あばばば意識もない」


「グラエコドイディゲク!!」


 凶化した武者ごぶは地面が割れる勢いで剣を振り回してる。錯乱かな。愛ちゃんがとりあえず私達の前に立ってくれてる。


 今のうちにモニカちゃんを介抱しないと!


「まず鎧を脱がせて、緊急止血包帯を……ぬぎぬぎ、いやースタイル抜群にいいなあ……げえ、腹部をざっくり斬られてる。止血法帯じゃ無理だ、止血修復接着剤を使うしか無い。痕が残っちゃうと思うけど。武者ごぶが振り上げたあの一撃がこんなに入ったのか……」


「どうにかなりそう?」


「死なないとは思う!」


「わかった。僕はちょっとこっちに集中しちゃうね」


 介抱、いやもうこれしゅじゅちゅ、げふん、しゅじゅちゅ、じゅちゅ、じゅ、オペ手術だな!オペ!オペするぞ!


「よし、接着剤が効いて斬られた所が塞がってきた。このまま縫合テープ、これで外傷はオッケーかな。次は緊急瞬間増血剤とスティムパックX04を混ぜ合わせて心臓にぶち込んで……」


 カンカンバキバキ!カンバキバキ!ドゴーンドゴーン!


 横を見れば愛ちゃんがかなり本気で立ち向かってる。魔人以来のフルパワーだと思う。凶化した今、武者ごぶは何階相当かはわからないけど深階層に出現する魔人級の強さなのかもしれない。


 急がねば。


「縫合よし、薬物注入よし、自動コンディションチェッカーは……よし!後は気がつけばいいだけ。異次元の扉よ、開け!エーンド、オープン!!異次元の中で待っててねー!」


 投げ飛ばすわけにはいかないので、背負って出し入れ。最後にクローズドアしてとりあえず安全な場所に移送できた。後はバックアップ!


 漫画走りして愛ちゃんのもとに。一進一退の攻防だったのか両者目立った外傷はない。よかったよかった。


「来たよ!取り敢えず空間圧縮炸裂砲ディメンションコンプレクスブラスト!ふきとべえええええ!」


 ドッゴーン!


『圧縮した空間を炸裂させる』この魔法は、最近訓練して指向性を持たせることに成功してる。


 つまり、私の左手から放たれた爆風は30度くらいの円錐状に広がって、武者ごぶへ猛烈な勢いで襲いかかったのである!


 さすがの武者ゴブもこれには耐えきれずに体勢を崩した。そう、崩しちゃったんだよ体勢を。大きな隙が生じたんだよ。そんなのを愛ちゃんが見逃すはずもなく


「はああああああッッッ!」


 思い切り踏み込んで、両手でハンド・アンド・ア・ハーフソードを振り下ろすッ!


 思い切り振り下ろされたそれは唐竹割りとなって武者ゴブに襲いかかり、脳天から胸の上部まで深く切り込んだ!



 これは!どう見ても!即死!






 勝利!




 残りの雑魚を掃討した後に異次元空間に入ってモニカちゃんの無事を確認、意識が戻ったところまでを把握した当たりで私がぶっ倒れました。魔法の使いすぎ。




 たかがゴブリン、されどゴブリンでした。ぱたり。

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