17さい、初めてを持って行かれました
モンスター討伐というのは何も身体面だけが成長するわけではなく、精神面も成長します。精神的な打たれ強さとか克服心、恐怖に打ち勝つなど、そういう面ですね。
私が、最初はゴブリンですら抵抗感があったのにこの時には既に全然余裕なのには、慣れ以外にもこういう面も存在します。
精神が成長したからって、同族を殺すハードルが下がっているわけではありませんよ。
「春奈さん大丈夫か」
「もう吐き出すものもないです……9階からは私どうにもならなかったですし」
サメマンは別にして、井崎の恐怖に耐えられませんでした。
ほぼ人というモンスターの恐怖を本当に味わいました。どうしたって同族殺しの抵抗があるし、死んだら人だもんこれ。
「よし、さあここまで来た。11階を爆破さえしてしまえば機能停止するから、モンスターも居なくなるはずだ。頑張って行こう」
フラフラと階段を登るとそこは海岸。奥の方に小舟が1
「那須与一の扇の的伝説では?どういうこと、これ?何がボスなの?」
「みんな不用意に近づくなよ、何が起きるかわからん」
入口近くでキョロキョロしていると、天から光が。昔の武者衣装に扮している男性が天から降りてきますね。わーお、さすがダンジョンなんでもアリだ。
武者さん、かな、彼は降り立った後、弓を体の前に突き出し
「よく来たな、中ててみろ」
とだけ。
「那須与一ですか?」
「さあな」
「ご出身は?」
「……
「那須与一さんですね」
みんな固まっていると
「やらんのか、全員射抜くぞ」
といってその弓で構えだしました。
っ!?撃つまでが早い!矢が来る!
どすん、カキーン!
太一さんがすっと前に出て矢を受け止めたー!さすがシールダーや
「ほぅ、なかなかやるな」
「中てるやつ、私がおこないます」
「一夏さん……」
「行って参りますね(にこっ」
そういってつかつかと前に出て、結構声が通っていて顔立ちの良い、那須与一から弓を受け取り、軽く引いて感触を確かめると、矢をもらい、今の服じゃ弦が胸に引っかかると胸当てをもらい、的の方へ向いて……
さあ、出番です。
緊張した雰囲気に包まれます。
一夏さんは軽く海へ入っていき、ふぅっとため息を一つ吐くと、弓道の型に沿って弓を扱い、
パァァン!
「ああ!中った!凄い!100m先だよ!」
「ふむ、見事なり。名はなんと申す?」
「一夏です」
「そうか、実に素晴らしかった。他にやるものはおらぬか?そこの……魔法使いなどは?」
「やってもいいけどさ、その弓以外の方法でもいい?それ絶対引けないから。一夏さんは非常に効率的に弓を引いてるし、かつ体幹強化肉体強化を重ねて発動してる。これは私には出来ないよ」
「ふふふ、よく見てるな。まあいいだろう、あの10
にゅっ、と、10段くらい先に扇が生えてきました。
段って古い距離を測る言葉で、1段大体10.8m。10段だと108m。ま、【大体100m先にある】のは変わらないですね。ほどって言われたもんね。言葉に揺らぎがある。
しかし遠いな。まあやりますか。
「できなくても笑うなよ」
精神を集中させると、15階層の恩恵で扱えるようになった空間制御で筒を作り、陸軍から記念にもらった8mm強装弾を筒の中にセット。距離を整えると、狙いを定め、
圧縮された空間が炸裂したことによるものすごい暴風が筒の中の8mm強装弾を押し出す!!
パァン!
「どや」
「凄い!春奈さん凄いです!何でも魔法で解決してしまいますね!!」
「まあね(どや」
「これはこれは、ものすごい荒業だがたしかに落とした。ははは、面白いものと出会った。ふむ、貴方らであればあの方とお会いすべきだ」
「あの方?」
「もうボスというやらはいない。最初の扇がそうであった。鎧を脱いで、楽な格好でいてほしい。ではな。私の奥義を、目を、二人に授けよう。ふふふ、ではな。主様によろしく頼む」
すると与一は天の方向に浮かんでいきそして消えました。
そして突然海岸は消え、海もなくなり、私達は板張りの正方形の部屋に立っていました。
「幻術!?」
「ではなさそうだぜ、春奈さんよ」
「すいません驚かせてしまいましたか?」
振り返ると一人立つ和装の子供が。顔立ちは女性っぽいけど。
「だれかなー」
「ああ、失礼、私、鬼武者と申します。」
「げーむ?」
「源頼朝といったほうが通りはよろしいでしょうか」
「え、なんで鎌倉の……ってダンジョンですもんねえ」
「ありがとうございます。私がここにいるのは、割と私が宇都宮や下野に家臣や戦勝祈願の縁があるからです」
「那須与一もそうだけど3代目宇都宮城主宇都宮
「一夏殿お詳しいですね。さて、私の説明はこれくらいにして、褒美一つ授けましょう。子供の姿のほうが柔軟性がよろしくて、この姿で失礼させていただきます」
「何をするんだろう?」
「では始めます……」
急に光が消え、名月が空に。演出?鬼武者さんだけライトアップされています。
そして、いきなり私に口づけ。ひゃああああああああああああpひゃあpひゃひゅひゃわああああああ
そこからの記憶はあんまりなく。ただただ鬼武者殿から力が入ってくるなあとしか。動いてるなあとしか。
一夏
――その二人で舞う舞は大変見事なものでした。子供の姿で出てきた理由も理解できます。接吻する鳴瀬が合っていて、かつお互いが幼い方が唇が柔らかくてよい。柔軟性が最大限生かされるような舞、今風に言えばアイスダンスを陸上で行いつつも、あまりその場を動かずに、ダイナミックさと繊細さはアイスダンスそのままに、極めて雅な味付けをした感じ。そんな舞を見せてくれました。非常に美しい舞、男女の舞でした」――
「凄い力はついた気はするけど、失ったものも大きい気がするよ……」
「俺らには何にもないんだ黙って喜んどけ」
「ふふ、舞ってよかった。それでは私は還ります。皆様に青狐の加護がございますように」
「知ってるんですか!?ってか青なの!?」
「ふふふ、青ですよ。おちゃめな神様ですよ、良い関係をこれからもお続けくださいね。あ、最後に」
「源氏が愛したこの下野国、皆様にお頼み申し上げます」
そういって深々と頭を下げたのでした。源頼朝に頭下げさせるってどうよ!?
「いえいえいえいえいえ!精一杯がんばりますので!」
「ふふ、さすがは関東一の弓取りと言われた武士の国だけありますね、頼もしいです。それでは、本当に。さようなら、ありがとう」
そういってやはり天に登っていったのでした。
登った瞬間
ぽわわわわーん
気がつくと、みんなボス部屋の真ん中で倒れていました。
「……先程のは?」
「んん……?」
「嘘だと思う?」
「拙者には嘘とは全く思えんな」
「頂いた技、これそうなんだろうなあ。すぐには説明できないけれど。だから信じるよ。さ、まずはここを爆破しちゃうね」
セットして
DOGOOOOOOON!!!!
「停止したかな」
「降りてみようか」
外には駆除科の役人さんが待機していて、なんか調べる機械で調べた後に、このダンジョン機能停止、と正式に判断されたみたいです。
「終わったね。さっきも述べたけど私は結構凄い奥義教えて貰ったよ。目に集中すると……」
左下に倍率、焦点のところに焦点先が何メートルあるかが表示されている。拡大は今の所8倍まで可能
「と、こんな感じで、鷹の目かな? ゲーム的に言うと。それが手に入った」
「私は余市の加護というものを。投擲物全てに加護がかかって、ダメージ向上と誘導が付きます。乱戦でも投げられそうです」
「凄い、私はその他にも、鬼武者さんから体捌きと魔法力、全ての成長性の向上だね。私ばかり多く貰っちゃって悪いかもなあ」
「なーに、今後ともよろしくやってくれればそれで問題ないさ」
若月春奈、関東一の弓取り(魔)の称号を手に入れました。
ありがとうございますお二方。栃木は私が守ります!!
……なにから?
――――ぴんぽんぱんぽーん――――
魔法のさらなる強化
物質生成初期及び
魔素を練って形にする魔成の解禁
――――ぴんぽんぱんぽーん――――
――――――――
鬼武者の設定のアドバイザー、舞の初期の構想のアドバイスは香居様です。
https://kakuyomu.jp/users/k-cuento
ネタ出しのお手伝いありがとうございました。
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