17さい、なかがわ水遊園でバトルです
深層開拓とは、20階層より深い階層を調査攻略するという行為を示します。20階より深い階層のダンジョンは全国的にも存在が少数です。
開拓。読んで字の如し、ではあるのですが言うのとやるのとでは大違い。
軍隊のように後方支援があるようなチームじゃない限りは、登り降りするための資源を持ちつつ本アタックする際の資源を上まで持ち込み、そしてルート開拓を行わないといけないんです。尋常じゃない難しさ。
ある程度駆除してから荷物を上に運び(この間無防備)、また駆除しては荷物を……荷物が置ける階層も限られていますからね……
まー私には
秘匿するレベルの魔法だから結局の所使えないんですよね…… 一人で開拓?無理すぎて涙こぼれます。
大体、一人で行動するのは分が悪すぎるんですよ。15階から先は罠が出てきますし。
よし、共闘依頼は全部蹴ろう。今は未だ時期じゃない。ここまで引っ張っておいてあれだけど。
「これねえ……こんな依頼をするところってのは基本的に会社として古いかメンバーが古参だったりするから丁寧に返信しないと色々とまずいよねえ。めんどい」
丁寧に返信を返すこと3日、やっと一通り終わりました。疲れた… みなさんのお誘い宇都宮じゃないんだもんなあ、ガックリ
まぁ、普通のダンジョン探索していきましょうか。
簡単そうに見える依頼に栃木宇都宮区那珂川にある、なかがわ水遊園ダンジョン護衛依頼がありますね。階層は11階。『時を超えし絆』PTがボス部屋破壊爆弾を輸送するので、それの護衛人を雇いたいとのこと。これにしよーっと。
審査は無事通りました。準備して寝る。ぐー。
やぁーってぇーきましーたー那珂川地区ー♪
わかりやすい旧名は
水遊園の近くのホテルを取って、期限切れの道具、回復薬やエナジードリンクなど、そういうのを買い替えて現地へ。おー『時を超えし絆』のみなさんいらっしゃってますね。
「どうもーこんにちは。」
「よー春奈さん。」
「どこかでお会いしたことがありましたか?」
「魔人のときに突っ立っていたPTなんだよ俺たちは。ちょうど達一、うちの攻撃係が武器壊しちまってなあ……参加できなかったのがかなり悔やまれるよ」
「あらら、そうなんですね。それで知っていたのか。そういえばその魔人の武器で今私は戦ってるんですよ、あはは」
「らしいな。まあ本題といくか。ここは水ダンジョンまでは伝わってるよな?」
「はい、水のモンスターが出てくるとか。沿岸部でもないのに珍しいですよね」
「ま、水遊園だからな。水系といってもシャチはまだ確認していない。3回までの調査だが。イサキ、イナダにゲンゴロウがでたな。虫はだめだと思ったからゲンゴロウ階は駆逐しておいたぜ」
「た、助かります」
「無理!」
「へへへ、一夏もだめだったからな。じゃあそろそろゲートくぐるか。上に登りながら連携は整えていくぞ。3トップか2トップかはそれで決めよう。今日は達一の刀が復活しているから期待しておいてくれよ」
はーい。そっか刀使いさんだったのか。技量がいるから、駆除人さんでも実はあまり使わないですよね。剣なら比較的難度の低い西洋剣のほうが多いです。一番多いのは槍。
刀、楽しみですね。
時を超えし絆さんは4人PTで、名前は
です。
1階に入ってすぐイサキ型モンスターが出てきました。魚河岸の人が着てるような胸まであるゴム長を着て、捻りハチマキをしている、魚に腕と足が生えた魚人間。今回はイサキだそうです。
槍?トライデント?銛?まあ柄の長い穂先が鋭い得物を持っています。
それを達さんが!
「はぁっ!」
イサキを横に真っ二つ!
達さん、ジッサイスゴイ
「すごいですね達一さん」
中くらいの部屋が3つあるタイプの階層だったのですが、2つめの部屋には……
イサキが大漁にっ!!斬り殺されていく!イサキぃぃ!!時を超えし絆かっこいい!!
「それでっ、イサキは捕れたの!?………… 1階からこんなに興奮してどうするんでしょう、私」
「ネタがネタだからな」
2階は迷路系で、階段までの地図があるので駆け抜け。イナダ系2足歩行モンスターがいたので斬り刻んだりしておきました。生臭い。
3階、1文字通路で、途中小部屋が6つありました。駆逐されていたので素通り。これ駆逐されてなければゲンゴロウ6回出会う計算ですか、無理。
4階、サメ。しかし水がないのでうおっうおっ!してます。このダンジョン設計失敗してない?小部屋2中部屋2のノーマルスタイルだったので駆逐しておきました。ここで一泊。
「今の所設計ミスみたいなレベルで大丈夫ですね」
「まあな。こういうやつほど上階が怖いっていうもんだぜ」
「僕もそう思うね。エネルギーが上に集まっているんだよ」とは太一さんの弁
「気を引き締めていかないといけないのは同じってことですねっ」一夏さんかわいいなあぐへへへ
5階、サメマン。手足が付きました。垂直に立ったらその最強武器である口をこちらに向けるの無理じゃない?というか見られなくない?こっち。
膝下まで水がある階だったので、泳がれるとやばいかもしれない、必ず1撃必殺を、ということに。私はバックアップだけだったな。達一さんの唐竹割りは地面とキスができそうです。力抜いてるんだろうなああれでも。
サメって柔らかいしね。栃木ではよくモウカザメやモロという名でサメが食べられています。
無駄なことして無駄な混乱を招きたくないので階段を見つけて直行。
6階、川が流れてました。川の先には階段、橋がかかってる。わかんないけど、那珂橋かな。そしてその周辺。
ここの階の陽気はおそらく7月前後。どことはわからないけどとてもいい日差しが私達を照らし、少し湿ってるけどまあ悪くない風が流れています。
「鮎、鮎です。ここは那珂川。そして那珂川といえば鮎。鮎階ですここ」
釣れる。鮎、釣れる。
「鮎釣りしましょうー!!!!」
「竿がねえしおとり鮎も持ってねーぞ!?」
「拙者素手で掴んでくる!」
言うが早いか、達一さんは刀を河原において川に入っていきました。防具も脱いでー!溺れるー!
攻略を忘れてみんなで川遊びしてしまいました。
「よーし、じゃあ外では違法のバクダンをしまーす!皆さん下流にて準備して下さーい!」
みんなを橋より下流に移動させて、上流でフルサイズフルパワーの空気爆発を水中に。爆発の衝撃波が水を通して伝わって水中の生物が軒並み気絶。鮎も気絶してぷかーっと浮いて下流に流れていきました、つかみ取りし放題!
ちょっとヘロヘロになりましたが、大量の鮎をゲット。この日は8階まで進まずにここで一泊することになりました。
「塩持ってきておくもんですねえ、6階の那珂川鮎なんですんごく美味しいですね、川臭さがない」
「10階より上の中層攻略とかになると、途中の食料階で豚や鳥を塩漬けにして次に進むのがセオリーだからな。持ってきてあったんだ。大体食料か水の階どちらかはあるからな」
「おいしー♪ それで、発見したら一度戻って、発見した内容に沿って、また装備を積み直して進むんだよね」
「一夏さんお詳しい。しかしうまいなーむっしゃむっしゃ」
「春奈さん、また太るぞ」
「そもそも太ってません!147の46kgです!筋肉を勘案してよね!?」
「私いくつだったかしら…… 太一は160kg超ありますよ。シールダーだからですけど」
「ごっつぁんです!」
「役割のために太るとか半端ないですね」
さて楽しい一夜を明かして、気力も回復したので登っていきましょう。
7階、前傾姿勢を取れるようになったサメマン。これで一気に驚異になりましたね、見えるし噛み付けるし得物で攻撃できる。
茂さんの剛槍、太さんの鉄壁のシールド&ソード、達さんの刀。これは正直すごいバランスです。
サメが突っ込んできても、トライアングルの頂点に立つ太さんが完璧に押さえ込み、そこを茂さんの槍で突く、達さん思い切り踏み込んで斬る。サメは死ぬ。
守りが前に出ているので出来る技ですね。突撃もあの体格の太さんが突っ込むのだから威力ありそう。
そんな感じで7階は終わり。小部屋2中部屋2、通路は少々入り組んでました。
8階!サメが消えて井崎さんが出てきました。魚河岸で働いてる感じの姿をしている、狂気に囚われた人のモンスターで帽子と前掛け部分に「井崎」って書いてあるから井崎。多分イサキ。講習所で習いましたが、本当に出るんだね。
ちなみに柳刃包丁を振り回す超危険なモンスター。今回は1匹だけ出現したので私は裏取りに。時を超えし絆が相対します。
裏を取れるようにジリジリと横周り、横周り。
うあ!急にこっちに攻撃仕掛けてきた!これ目は白目、よだれ垂れ流してるし聞いた話より怖い!
「いさきぃい!!いさきはとれたのおおおおおお!!」
井崎さんの乱れ打ち!!
「知らないよ……」
バックラーで防げる気がしなかったので
ただ後ろ丸見えなので、達一さんの袈裟斬りぃ!!一発で斜めに切り落とされた!人モンスターの背骨を斬り抜けますか……太いのに。武器あれば本当に魔人と渡り合えたんだろうなあ……
2階とは違ってこの井崎は人を殺した罪悪感が出てくるこれゲロゲロゲロゲロゲロ。
「帰りたい」
「修行と思ってくれ」
この後3回井崎を殺してここを抜けました。9階は鈴木か?
9階、群れるサメマン
水がないので大きな被害はありませんでした。ただ数が多いのでみんなに疲労が。私は隙きを突かれて、かなり噛みつかれてしまいました。鮫の歯は鋭くて、防具にかなり損傷が、まずいな
ここで1泊。階段はモンスターが近寄らないし濡れてないという不思議空間なので階段にてみんな雑魚寝。体痛い。
10階、群れるイザキ型モンスターと指揮する井崎。
とにかく井崎の叫びと人型の死体で私は戦闘要員にならず、ずっとゲロ吐いてました。ごめんよみんな……
もう、身も心もボロボロです。
鮎はとても美味しかったです。
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