17さい、個人業としてスタートします



 たりない、たりない、ああたりない。


 何がですって?


 実 績 で す 

 会社としてのね


 よーしダンジョンいくぞーと、いろいろな案件に申請したのですがだいたい審査落ち。いくら私が魔人倒した、15階攻略に参加したといっても、会社としての実績がないので信用がないんですねーいやー知らなんだ。


 今引き受けられるのは低層の掃討~駆逐です。まあ今までが凄すぎたんですよね、素直に実績積むとします。



 ずらーっと依頼を検索。お、大田原の大型ダンジョンの第2層が刈り込んだ後の米を狙ったネズミで溢れているそうです。そっか、いま秋でしたね。新米の季節かー。

 報酬も10万と審査落ちしない程度には低い。マンションの家賃にも満たないですが参加しましょう。


 スマホで連絡とってそのまま契約を結び、レッツゴーネズミ追い。


「こんちゃーっす、ハンター会社の㈱こゃこゃきつねです。本日は駆除にやってきましたー」


「はー、本当に来た。たまげたなあ」


「契約して来ない人いるんですかねぇ?それで、ダンジョンはあちらですか?なにもなければ入って処理していきますけれども」


「いや、あとひろりたのんであんだわ。ちとまってけれや」


 ほーい、それじゃあということで頂いたまんじゅう食べてました、おいしい。

 少し時間経ったらやってきましたよ。


 ああ、あの色は!


「ハッハー!レオナルド・デフォンデだよ!僕が来たからにはネズミ一つ残らずに掃除するさ!」


「赤い人さん!お久しぶりです!あれからいかがしてましたか?」


「は?君は確か…… はっ!?」


 急に冷や汗をかく赤い人。なぜ。


「ああいや、あのときのことを思い返していたのさ……ハハッ。今回は僕が後ろについて討ち漏らしを担当するよ」


「わかりました。あのときも後ろにいましたよねー懐かしいです」


「ハハッハハッ」


 ということでダンジョンに。私が先行です。2階はひろーい土地に刈り取った後の稲、そしてうごめくネズミが。うげげげ。

 このダンジョンは全3階で、ボスは撃破済みだそうです。ネズミを完全に駆逐するのは難しいから残っちゃった感じでしょうか。



「うわー本当にすごい数がいますね。米食べて増殖した感じですか。これほっとくと外に出ちゃいそうですね。ネズミだけの百鬼夜行スタンピード


「スタンピードはやめてほしいね。こんなネズミでも群れると一般人には凶悪な相手だよ」


「ですよね。熱で焼き殺すか……熱光融合のサン・レイ熱怪光線


「ハハハッ!?稲藁が燃えるからだめだよ!冷凍ビームとかはできないの!?」


「あ、はい。じゃあ低温側で。熱風融合のアイスショット」


 これは大丈夫でした。窮鼠猫を噛むみたいな感じで突撃してくるネズミもいましたが軍刀で処理。黙々と処理していきまして。


「だいぶ処理しましたねー魔素量も残り少ないです」


「ハハッ、そうだね、一度契約主に見てもらおうか」



「っはーたまげたなぁ。やっぱこずんうんえいはやることがちげぇな。日没まで間引いてもらったらもうそれでえかんべ」


「わかりました」


 ということで日没まで延々と。途中から魔素がなくなったので軍刀で斬り殺すことになりましたが、概ね順調に終わりました。


「いやーえらくたすかったわ。報告には満点の評価しとっからな。今日はもう夜遅いから夜飯よるめし食ってけ」


「わーありがとうございます」


 お夕飯いただいいたんですが、しょっぱめということ以外はうんめー!特に米!やっぱダンジョン産『栃木の朝』はうまいわー!


「しかしレオナルドさんあたりになるとあそこまで処理できんだなあ、たまげたなぁ」


「え」


「ハハッ、ま、まあ、僕が指導すれば誰でもうまくやれるさっ」


「(ここは流そう……)あか……レオナルドさんとは何度かやってますから連携もうまくいきましたよ」


「いんやーレオナルドさん様様だわ、がははははは」


「あはは」


「ハハッ」



 くそー、ほとんど私が処理したんですが、実績が全然違いますし実際の現場を見てませんから普通こうなりますよね。

 早く実績が欲しい!



 まあ、コツコツやるしかないんだよなあ……




 それから、農家とか個人の依頼を受けて経験を積み、小さい会社なんかにも出向いてさらに経験積んだりしました。悪徳会社にも出会ったけど、会社の方が契約はきっちりしてるね、さすがだ。

 駆除完了後の値下げ要求は拒否して即座にレッドダンジョンリストに通報!レッドダンジョンだと駆除依頼ができません。百鬼夜行スタンピード起きる手前くらいに駆除隊は入るけど。

 駆除後の値下げ要求は違法!ここは国も厳しいです、駆除しないと外や下の階に湧いて出るのを命かけて抑えてますので。




「それでは今年もお疲れ様でした、カンパーイ!」


「カンパーイ」


 年末です。無事に今年を生き残ることができました。愛ちゃん誘って高級なレストランでお食事です。


「愛ちゃんに会わなかったら今頃なに食べてたんだろうなあ…」


「春奈に出会えて幸せ」


「今年は愛ちゃんのおかげでゴブリンを倒せるようになり、魔人まで倒してしまったよ」


「私も強くなれたよ」


「来年もよろしくね」


「こちらこそ」


 という感じの年末で、年始は15日くらいまで休んでました。個人業バンザイ。





しかし、この深層開拓共闘依頼どうにかならんかね。魔人倒したのは事実だけど。

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