17さい、アレと組んで豊郷の丘ダンジョン15階攻略してみます



 さて。


 そのまま豊郷の丘ダンジョン15階攻略に組み込まれることになりました。

 このダンジョンは住宅街に出現した系なので早急な対策が必要みたいなんですよね。個人運営に任せればいいのに。お金かかるから嫌なのかな?こーいうの、17さいにはわかりません。


 今回攻略するグループは


「私は坂井三郎少尉です、本日はよろしくおねがいします!」


 陸軍攻略部隊さんです。出ちゃったよ本物。私に合わない気がしますが、攻略予定より浅い階層を駆除した人をそのまま用いる、なんてことをよくしているんだそうです。深層に行けば成長しますからね。おこぼれもらえる。こーいうの、17さいは敏感です。

 軍隊の気質もダンジョンと戦った80年で相当変わったそうです。今は民間人には優しいし、災害派遣、いわゆる災害救助隊として台風など天災で損害が出たところに真っ先に駆けつけてくれる頼もしい存在になりました。80ってなんかい17さいできますか?


「ヨロシクオネガイシマス。今回はダンジョンの破壊ということですが」


「はい、私が『ボス部屋破壊爆弾』を持っていきますのでボス撃破後に部屋を破壊してダンジョンの機能を停止させます。なので我々のチームは11名で動くことになります。補給部隊も付随しておりますので長期滞在も可能ですよ」


「ボス部屋を破壊すれば『ダンジョンが死ぬ』んでしたっけ。講習所で習いましたね。じゃあ私入れて12名ですね。2の倍数でキリが良いかな?補給あるのはさすがは陸軍さんです」


「そうですね、では頑張りましょう!全体、行動開始!」


「「ハッ!!」」


 かっこいー、これなら任せればボス攻略まで余裕ジャマイカ?私いる意味って何かな?




 余裕じゃありませんでした。10階からウルフコボルトが出現してきたんです。


 このウルフコボルトはコボルトのように「2足歩行しているオオカミ」のような存在で、オオカミ特有の極めて強靭な筋肉や敏捷性を持ったまま武装している、なんていえばいいんだろな、そう、超強いコボルトです。超強いんだよ。コボルトなんて名前は分類学上の事ですよきっと。


「くそ、囲んでも攻撃が当たらん!狼の超反応持ちめ!」


「ウルフは主に鈍器だが、当たったら骨持っていかれるぞこれは」


「音炸裂弾投げるぞ!」


 PAN!


「おし今だ!」


 キャイーン、ウルフコボルドは銃剣で首を貫かれて死んだ。


「よし、次に行くぞ」


 こんな感じでこの狼に苦戦して歩みがおそーくなり、私が出張でばることに。そう、まだ私は温存されてました。陸軍のオニーサンオネーサンとは違う種類の生き物だから戦闘に入れたくなかったってのが大元の見方でしょうかね。私異物だもんね。


「よし、じゃあ参戦します」


「どのようn「くらえー、圧縮空気炸裂砲!!」」


 どーん!!


 私も強くなりましてね、空気圧縮砲から改名した、「圧縮空気炸裂砲あっしゅくくうきさくれつほう」を今放つと10トントラックのタイヤが破裂したときの空気圧並の力を生み出せるんですよ。この圧力、普通の人だと巻き込まれると死にます。マジでマジで。たまに新聞にのるもん。


「いくらウルフコボルトが強いといってもですよ、吹き飛ばされちゃあどうしょうもないです。頭が揺れちゃってノビますよ。実際そこでノビてますし。あとは陸軍さんどうぞどうぞ!」


 というわけで私が魔法で索敵しながら(凄いでしょふふーん)、ウルフコボルトが現れたら先に初撃を入れてノビさせ、その後に陸軍さんが追撃して始末するというパターンで進むことに。迷路状の階層が続いていて偶発的な戦闘が多いんだこれが。索敵超大事。魔法使える人私だけなので私が索敵魔法かけて専らやってるぜい。陸軍なのに魔法使いいないのかな。



 まいーや。連携が安定してからは順調に階層を進み13階へ。12階は水場階でした。階層が深くなるダンジョンほど、数階おきにこういう休憩できる階層が出現するんだってさ。へー。不思議である。


 さてさて終盤戦です13階、この階からはウルフコボルトに加えてオークが出てきました。緑色のあれ。そう、あれ。モンスターデータベースによると赤と青と黄色が他にいるそうです。からふるー。


「オークの身長はだいたい180cm。私と40cm近く離れてるよ。剣だとリーチでかなり負けてるなあ……陸軍のオニーサンオネーサンに任せよ」


 オニーサンオネーサンたち身体大きいですからねー。だいたいみんな成長期くらいの頃からもりもりダンジョン飯食べて訓練に明け暮れてますからね、成長性が一般人とは違う。


 武器は銃剣に軍刀。それを部隊で揃えてるし銃剣はリーチもあるし、オーク相手でも十分やってくれそうです。私が邪魔になるかもしれないな。


「クンクン、匂う匂うぞ。この先にオークがいますね」


「A連携で行くぞ、準備」



 てってれー、オークA、Bが現れた!


 春菜の攻撃、圧縮空気炸裂砲!オークAはスタン!


 陸軍グループAの攻撃、オークBは回り込まれた!


 オークAはスタンしている!


 オークBの攻撃、春菜は軍刀で受け止めた!


 陸軍グループBの攻撃、オークAに直接アタック!オークAにダメージ!出血!


 オークAは身動きが取れない!


 春奈は様子を見ている


 陸軍の攻撃!オークBに会心の一撃!


 陸軍の攻撃!


 陸軍の!


 陸軍


 陸


 り


 敵をやっつけた!


 てれれー!全員少し成長した!



「この演出はありなのかな?」


「わかりません。さあ先に進みましょう若月さん」




 先に進むと言っても、現在は12階をベース拠点に13と14階の駆除をしているところですけれども。完全駆逐じゃありません、間引きですね。

 モンスターが『再出現』するには少々時間が掛かるんですよ。階層や敵の種類によりますけど2日は掛かるかな。なので間引きも出来るんです。

 まあ、ボスアタックする日に消耗していられないので。

 なんかやってること登山ですねー。


 それで12階で数日住んでいるのですが、こう、男女混成なんですけどね、男性の目線がこう、私という女を欲しているというかなんというか。えっちいな!


 女性からはジェラシーを感じています。はっきり言って私美人ですからね。小さいけど。はあ、身長伸びないかなー私も思春期つまり成長期ですよ。伸びる余地はあると思いたい。


 まぁしょうがないよなーなんて思いつつ駆除していきました。

 うむ、えっちいしせんをかんじたりじぇらしーをかんじたりして特に何があったわけでは、ない。





 はい、そういうわけでボスアタックです。ここまで2週間と3日かかりました。ペースとしちゃかなり早いですね。


「少尉少尉、予想されるボスはなんですか?」


「はい、おそらくウルフコボルトの大きな群れかキング、もしくはオークキング単体というところです」


「群れは嫌ですねえ」


 などとしゃべりつつ15階へ。サッカーコート並みの広さの円形の部屋であるボス部屋の中に出てきたのはー



 でかいウルフコボルトです、キングですね!先手必勝!しねぇい、鎌鼬かまいたち


 ウルフコボルトはとっさに側転回避!


「アイヤー、凄い身体能力ネ」


「総員装填、射撃準備!」


 おお、97式重歩兵銃による掃射がみられそうです。わくわく。銃の名前は12階にいるときに教えて貰いました。

 あ、今まで銃が出てきませんでしたが、モンスターに銃が効かないとかそういうわけではありません、補給の問題です。

 対人弾では大体5~7階以上のモンスターに効果がないので、大体8mm強装弾が入ったバトルライフルを使用しています。

 この銃弾がでかくて重くてかさばるので、見た目以上に中身が入る特殊な袋を装備している部隊じゃないとすぐに撃ち尽くしてしまうのです。

 なので、あんまり使われていないのです。

 乱戦だと誤射もあるから撃ちにくいしね。

 後方支援がある日本防衛軍の掃討部隊に攻略部隊なんかが使っている感じです。後方支援、まじ重要。



 あ、ウルフコボルトキングは160cmくらいです。素材になるところはなさそう。普通のウルフコボルトが140cmくらいなんで1割ちょっとくらい大きいのかな。


「射撃開始!」


 BAMBAMBAM!!


 うわー凄い音!さすが8mm強装弾です。

 ウルフコボルトキングはモロに食らって蜂の巣になっちゃいましたね。





 え、終わり?泥沼の戦いとかギリギリのせめぎあいとか、そういうのはなし?死んじゃった?



「ボス=強くて苦戦するという固定観念を変えないといけないのかね……」


「毎回苦戦していたら攻略部隊は務まりません。今回、道中は訓練のためにあえて使っていなかったというのもあります」


「えぇーてぬきじゃないですかーさくてきがんばってたのに」


「申し訳ありません。それより勧誘してよろしいですか」


「ナンパはお断りです、男割」


「いきなりオヤジに。いえ、ナンパではなく陸軍攻略部隊に入ってくれないかなと。特殊部隊に参加していただきたいのです。それくらいの力と潜在能力を秘めていらっしゃる」


「なにそれ。考える時間ください。じょしこーせーになら即なりたいですけど即」


「正反対の部隊になりますね。攻略部隊より融通がききますよ」


「うーん、まあ少し考える時間をください」




 この後ボス部屋破壊爆弾を設置してボス部屋を粉々に爆破、依頼は完了となりましたとさ。売上がまた増えちゃうね☆

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