17さい、魔人(超強い)と戦闘します

 スマホのモンスターデータベースによると


 魔人、それは20階層以上からランダムに出現し、駆除人を駆逐していく存在。

 体は細身で掠れた朱色、皮膚で覆われた羽  (エネルギー励起装置と思われてます)を持ち、言語はわかりませんが言葉を発し、当たり前のごとく魔法を使い、圧倒的な力で我々をなぎ倒す存在です。

 この80年たった今でも報告数が少数なためあまり詳しい内容がわかっていません。


  逃  げ  た  い


 未だ私17なんですこんなところで命枯らしている暇はないんです後ろに向かってぜんしんd


「に、にげろぉぉぉ!」


 逃げようとしたまさにそのとき、先に入っていたPTが我先にと逃げ出しました。くそ、先に逃がせて!


 それをみた魔神はにやーっと笑うと(気色悪いな)、


「オンドガレイ・ホタレックスボダバア」


 魔法らしきものを唱えると左手から魔法の稲妻を発してPTを直撃!

 チェイン系の稲妻だったらしくPT一つが一瞬にして丸焦げになりました。


「……死体の山になっているのは逃げ出したPTの残骸っぽいですね」


「死ぬ気で立ち向かわないと死ぬかも」


「ハハッ、ハハッ、ハハッ」


 死にたくないので挑みますが、明らかに私は無謀だよねえ……勝てる部分がなにもない。


 撤退もできず絶望して突っ立っているPTが複数いる中、我々は魔人の前に躍り出ました。


「やあやあわれこそは若月春奈であるぞー」


「春奈ちゃん諦めないで」


「ウィッス」


 とりあえず3対1なので、囲みこむ陣形で襲いかかるような手合に。私が本格的に狙われたらおしまいなので、魔法唱えて相手の足かせになろうっと。


風の防御壁ウインドスクリーン鎌鼬かまいたち空気圧縮砲エアーコンプレッションキャノン!」


 ザシュッ!ザシュッ!


 っあー……魔法を武器でかき消されたよ。やることが、ない!


「ええぃ!」


 愛ちゃんが袈裟斬りを仕掛けると、魔人はそれをバックステップ回避。振り下ろしを狙って魔人が右手の刀?らしきもので横薙ぎをしました。

 愛ちゃんはそれをシールド受け。以前使っていた魔法ですね。それで受けました。

 魔人VS人、力負けしそうな感じですが愛ちゃんは魔人に負けずに刀を振り払い。一進一退ですね。


 これは愛ちゃん一点賭けだ!ふぁいとー!ふぁいとー!


「ハハハハハハハハハッ!」


 ここで槍使いのまさに横槍!そこそこ長い槍で横から差し込みます!やりぃ!


「ズドバァ!」


 ボォン!


 なんぞ?


「ハハッ……」


 空気圧魔法かなにかで赤い人が吹っ飛んだー!死んではいなさそうだ。




 数分後


 やばいですね、愛ちゃんが息切れしてきました。このままだと愛ちゃんが押され負けます。


 ヤバイヤバイ、なにかしないと。といっても横槍は全部弾き飛ばされて失敗してます。


 だれか助けてー!


【こい、真夜中の雷雲ボルテックスストライク


 あ、スマホが喋った


 すると魔人の頭上に雲が一瞬で生成されたと思ったら


 DOOOOOOOOOM!


 雷様!雷様が落ちてきました!かみなりさまです!


「GYAAAAA!!」


 おおー魔人がネイティブっぽく唸ってる。効いた?効いた?


 魔人は、崩れ落ちはしないけどその場に片足をついてしまいました!魔人も動物で、電気が通電しちゃうと筋肉が硬直しちゃうのかな?


「今だ!」


 愛ちゃんがその大きな片手半剣を両手持ちして一気に横薙ぎ!!


 すっぱーん!


「首が飛んでいきおったー!勝利だ!」


 うおおおー!わあああー!


 あ、絶望して突っ立っているPTが歓喜の声をあげていますね。てつだってくれればよかったのに。きみたちぶたのおーくかれるくらいつよいんだよね。




「なんとかなったね。しかし最後の雷すごいね春奈ちゃん。あんなの使えるんだ」


「いやこれこれこうでして」


「へースマホが勝手に使うんだ。それもすごいね。じゃあ戦利品を整理してから戻ろっか」


「戦利品とかあるの?」


「んーまずは魔人の体かな。研究機関が高く買うんじゃない?あと武器。この……これ。この軍刀は95式軍刀を模したものだけど私と何度も競り合っても刃こぼれ一つしてないよ。春奈ちゃん使ったら?私は西洋剣に慣れちゃってるからちょっとね」


「小さい私が扱えるかな…… まあいただきます。体は3人で背負って運び出そっか。赤い人さーんおきてくださいー失禁してないでー」


 赤い人を叩き起こしてそそくさとその場を撤収。4階で一晩明かしてから無事に脱出。


 魔人の体 (頭は盗まれてました、むきー!)は買取所では対応できないということで、国の研究機関に連絡をつけてくれてそちらに売り渡しました。1500万円なり。


「ひとり500まんえんだよ500まーん!」


「やったね春奈ちゃん!」


「ハハッ!このレオナルド・デフォンデにかかればこれくらいお茶の子さいさいさ!」


 赤い人何もやってないけど。ま、3人でPT組んで討伐したのは事実なのでちゃんと3等分しました。


「多気山脇ダンジョンの攻略報酬とボス撃破報酬も加えれば1000万は硬いね!お金持ちだー!」


「ハハッ!節税対策はしっかりとするんだよ。そのままだと来年半分くらい持っていかれるからね」


「え」


「節税するには個人事務所を開くのがおすすめかな。役所の保護はなくなるけど、税金は殆どないよ」


「個人事務所。個人の運営ってやつですか」


「そうとも、僕のようにねっ!4階までは無双、レオナルド・デフォンデここにあり!」


「そういうのも含めてそろそろ打ち上げ行こー?」


「わかったよ愛ちゃん。個人の運営、個人事務所……ええ……もう少し役所に登録しておいたほうが……いやでも……ぶつぶつ」


 そんな感じで打ち上げに行ってはしゃぎましたとさ。



 それにしても


 ――――ぴんぽんぱんぽーん――――

 魔法の強化

 時と空間魔法 異次元の扉よ、開け!エーンド、オープン!!

 狐神社を建てたくなる

 ――――ぴんぽんぱんぽーん――――


 というかんじで私は特典もらったんだけど、絶望して突っ立っている人含めて他の人はどうなんだろ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る