17さい、多気山ダンジョン駆け上ります
「それじゃあ前衛は榊さん、中盤に若月さん、後ろに僕が陣取るよ。僕の槍は後ろから届くからね、ハハッ!」
「なぜ一番弱い私が中衛なのかわかりません」
「真ん中が一番不意打ちを食らいにくいのさっ!」
「ほえー」
「じゃあ連携確認しながら進んでいこう。マッピングは春奈ちゃんお願いね」
「はーい」
ほぼ返事しかしていませんがすごい安心感です。愛ちゃん強いしね。れお……えーと、と、と……うん、『赤い人さん』は経験が豊富そうだし。
逃げ帰った2階を余裕で蹴散らしながら進むこと4階、いきなり空間がガラッと変わりました。芝生、そしてなぜか明るい空。淀んでなくきれいな空気。
「これは?」
「ハッハー!これは動物階だね!ここには動物がいて、ダンジョン動物として高く売れたりするのさっ!」
「うん、そうみたい。あれ、あそこに見えるのが動物じゃないかな」
「えーと、黒い……豚?」
「黒豚じゃぁないかっ!ここは数日間豚刈りに専念したほうがいいのではないかなっ?4階の豚だ、結構高く売れると思うよっ!」
「オカネオカネオカネ。ぜひともしましょうそうしましょう!!」
「うーん、まいっか」
というわけで我らは数日豚を狩ってお金にしていきました。残高回復ー!4階の動物なので殺すだけでも割と私成長できたよ。
ちなみに売るのは『ダンジョン資源買い取り所・宇都宮多気山支店』ってところです。本店は東京ですが、ダンジョンがそこら中にあるので、そこら中に出張所があります。
こういうダンジョン資源を一括で買い取ってくれるところなんです。豚も資源。
この買い取り所を通さない相対取引は、面倒事に出くわしやすいので皆さん避けてるそうです。ここで売るのがほぼほぼ正規ルートです。講習所で習いました。
「これ以上狩ると駆逐しちゃうから、狩りをやめてそろそろ先に進みたいな」
「えー」
「ハハッ、駆逐したら再度『湧く』ことはないからしょうがないね」
『一度完全に階層からその生物を駆逐したら以降はその生物は湧かなくなる』のはモンスターも動物も同じなんですよね。しょうがないね。
さて、5階を蹴散らして6階へ!そこはー
「またしても動物階?かな?ここは」
「春奈ちゃんストップ。レオナルドさん、あの動物、いやモンスターは……」
「間違いない」
「「豚のオークだ!」」
「豚のオークって幻の食材の?あれが?」
「そうだとも!体調2m体重200kg前後、倒すのは用意ではないが倒せれば一夜にして大金が手に入るあのオークさ!」
進化、それは生物が淘汰されつつも歩んだ歴史。
とかそんなんじゃなくて、豚のオークは豚が二足歩行して鎧などで武装してダンジョンから生み出されるモンスターです。。立ってる豚、武具ダンジョン支給。
特徴はまあその鋼鉄の武具もあるんですが、最大の特徴は
でかくて肉質が最高ランク相当にうまいこと!
その旨さはA5ランクの牛肉に匹敵する旨さなんです!!めっちゃうまい肉だってこと!そしてそれは!
売却価格もそれくらい!A5ランク牛クラス!一体1000万は堅いのではないでしょうか。倒せればですけどね。
倒してーです。愛様赤い人様がどうにかしてくれないですかね。
ここは通路に緑の牧草地の中部屋、そして未確認のその奥という構成になっております。とりあえず通路に引き込みたいですね。視認できている数は1。
よし惹き付けましょう。距離が離れているとたいていチャージしてくるんです。モンスターデータベースによると。
私がバックラー叩いてときの声を上げます、うおーうおー!
それで気がついたのか視認出来ている1匹が猛チャージ!すごい勢いで距離が縮んでいきます!
うおおおぶつかる!ここでアクセル全開、インド人を右に!ではなくて
まずは私の
この豚は愛ちゃんを狙っています!危ない!
ぼよーん。豚のオークは勢いを止められて立ち止まってしまった。
……………… えーと、おそらく以前同時にもらった魔法の『シールド』を展開して衝撃を受け止めたんだと思います。200kgがぶつかるというのになんの迷いもなく使っています。どんな精神を持てばあんな使い方ができるのでしょうか。
で、動きが止まれば愛ちゃんの剣さばきに勝てるものはいません、数回武器を交えただけで首チョンパ。本当にどこまでも強いですね愛ちゃんは。
一体200kgくらいの体重があるので、流石に全部持ち帰ることができません。階段まで引きずって解体処理。美味しいところだけ持っていって今回は外に出ました。
買い取り所に持っていったら合計200万で売れました。1000万は行かなかったけど、すんご!
さてと、報告して次の日また狩りに行きましょう!豚のオークを食べて成長するんだ!
次の日の6階は人で溢れていました。
私が馬鹿正直にスマホハンターダンジョン情報共有板に『多気山横のダンジョン6階、豚のオーク』と書いたばかりに、倒せる人が一攫千金を狙って高速バスとかハイヤーとかで乗り込んできたみたいです。
6階なんて浅い階層に豚のオークが出ることが珍しいですしね。
「これじゃあ駆逐されて資源枯渇するのも時間の問題だね」
「しょうがないよ春奈ちゃん、豚のオークは高価だもの」
「ハハッ、なぜ日本人は資源を取り尽くすまで乱獲をやめないのか。しょうがないから7階層行こうじゃないか、結構行っている人多いみたいだし。僕らは攻略依頼で来たことを忘れてはいけないよ」
あ、そうだった。黒豚を狩ったり豚のオークを狩ったりするのが目的じゃなくて攻略が目的だったんだ。でもこの人混みなら7階のボスも余裕で撃破されているんじゃないかな?
そんなわけで7階に向かう列ができていたので、順番待ちをしてから7階の扉を開きました。中で待っていたのは
魔人と死体の山でした。え、無理じゃない?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます