第6話

ななみは考える

何故、このタイミングなのか

何故、はちのはこうもタイミングが悪いのか

何故、俺のタイミングも悪いのか

「腐っても幼馴染って事か…」


考えてもどうせはちのの考えてる事なんて分かるはずもないし、考えるだけムダ…と、分かってても考えてしまうのが人としての性(さが)だし…って俺は何に言い訳してるんだか。

はちのはこっちの事なんて考えてないだろうし。

というか絶対分からないだろう。


でもやはり考えてしまう。

「何故今なんだよ…」


独り言だから誰にも聞かれないし。

独り言だから誰にも相談するつもりもない。

独り言だから誰にも気付かれない。


「はちののバカ…ってそういやバカだったわ…」


この気持ちは誰にもバレてはならない。

この気持ちは誰にも勘づかれてはならない。

この気持ちは………


「この気持ちは何なんだろうな…」


自分で自覚したのは高校に入ってからだ。

最初はこの気持ちがなんなのか分からなかった。

分からないからなんなのかも調べた。

でも分からないものは分からない。

でも誰かに話してはいけないと自分で分かっていた。

この気持ちは【誰にも】分からない。

そう…思っていた。


実際俺にはなんなのか分からなかった。

でも気づいてしまった。

気づきたくなかったと思ってもしまった。

でも自覚してしまった自分の気持ちに蓋をすることは出来なかった。

蓋は出来ないが気づかれないようには出来た。

だから今の俺がある。


この気持ちは俺以外の誰にも知られてはならない。

せめて卒業するまでは。

もし…もしこの気持ちを止められなくなったら…

それが怖い。


「俺にも怖いって感情があるとは思わなかったな…」


自覚してからこんなにも自分の感情をコントロール出来なくなるとは思いもしなかった。

というかこんなにもコントロールが出来なくなるんだな…


「だから人間は不完全で面白い…か」


でも…この感情は…





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