第11話 理解と理解
俺が起きた時には、一週間がたっていた。
起きた時には自分のベッドの上で、柚木さんと桜さんが両手を一つずつ繋いでくれていたのを感触として覚えている。
その後、リビングで二人から改めて隠していたことやつらかったこと、自分の過去について語ってくれた。
そこでやっと、お互いの理解を深めることができたのである。
「話も聞かず、怒鳴ってごめん」
素直に謝ると、二人は涙の大合唱だった。
桜の過去や今の現状を聞き今日は二人に帰ってもらって、母親に初めて頼みごとをする。
「母さんは福祉関係の仕事してたよね。桜の両親の説得頼めないかな?自分はまだ子供だから話を聞いてもらえないと思うんだ。だから、最初で最後の我儘を聞いてくれませんか」
真剣な目で話し、頭を下げて頼む。
「あなたにも大切な人が、友達ができたのね。息子の力になるのが親の仕事。任せなさい!社会福祉士の私が責任をもって話してくるわ!」
頼りになる親の真剣な顔を見て、尊敬した。
「ありがとう母さん。本当にありがとう」
初めて口にする感謝の言葉は、自分自身も気持ちが晴れていく感じだった。
その数日後、自分の思いが母へと託され、桜の笑顔とうれし涙がそれまた数日後の登校日に見えたという。
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