第10話 過去の救世主と未来の救世主
私は羅城桜。
中学1年生の時、普段と変わらず両親と普通に暮らしていた。
けれどある日、両親が喧嘩をしているのを真夜中に聞き泣きながら無理やり寝ようとしていたのを今でも覚えている。
そんな、暗い気分と寝付けずクマができている自分は頑張って今日も学校へ行く。
なるべく家にいたくないという思いが強いせいか、学校に行くのはそんなにつらくなかった。
「おはよう。どうしたの?元気ないね、ていうかすごくつらそうな顔してるよ」
あれは体育の授業の時だった。
顔色が悪いから休めと先生に言われ木陰で休んでいたあの時、一人の男子に話しかけられたのだ。
その人も木陰に入り休むが、心配そうに様子をうかがってくる。
「心配してくれてありがとう。眉間にしわ寄せてるけど、目が悪いの?」
心配そうにこちらも質問する。
「そうなんだ。眼鏡を忘れちゃってね、ぎりぎり見えるくらいだから大丈夫だけど先生が危ないからって休ませてくれたんだよ」
理由を聞いた後、その男子がまた話しかける。
「つらいことがあったんでしょ。話してみてよ」
「そんなのないわよ」
即答で返事を返す。
「でも涙が………」
それを聞いて、私は目から出る悲しみを拭う。
しかし、なかなか止まってくれない。
無意識に、泣いている理由を話してしまう。
「そっか両親がね。我慢してつらかったね、しんどいね。泣きたいときはいつでも胸を貸すから、君の笑顔が見たいな」
安心するその言葉を聞きながら頭を撫でられる。
私はそのときに、とてもいい笑顔になれたねとその男子に言われた。
そして、中学2年の3年生になる間近に、離婚した母親についていき再婚。
転校が決まったときは、あの男子にもう一度お礼を言いたかったが、同じクラスであるにもかかわらず名前も知らずに転校してしまったのが後悔だった。
それから、月日がたち高校生になる。
だが、また両親は喧嘩をして離婚しようとする。
もう
耐えられなくなり、ある時廊下で泣いていた。
~現在~
「話しかけられ、姿を見たときあの男子だとすぐ分かったの。
嬉しかったし、失いたくない!」
その時、掴んでいた左手が動いた。
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