海賊海域、少女聳え立つ

 一方、南の海域。


「ぃぃやっほおおおおおお――――!!!!」


 小柄な少女が飛び回る。あれだけ海面に浮かんでいた海賊船が、ものの数十分で壊滅した。


「姐さんパねえぇ…………!!」


 その中、たった一隻だけが無傷で海を渡る。掲げるは、桜色の海賊旗。いたるところで姿を見せては、略奪行為を働く海賊をこらしめる義賊として有名だった。


「そういや姐さん、知ってやすか?」

「んん?」

「例の勇者、今日が旅立ちらしいっスよ。魔王をぶっ飛ばしてくれりゃあ、ウチの商売もはかどりやすね!」

「――――へ? マジで?」


 少女の顔がすっと青ざめる。弾けるように飛び出すと、海に浮かぶ木片を伝って走り始めた。


「姐さん!?」

「悪ぃ!! あたし、すぐ行かないと!! 遅刻遅刻遅刻ぅぅぅううう!!!!」


『桜の海賊団、4番船船長』

体力:8697

攻撃:788

防御:309

魔力:0

俊敏:999


「待ってろよおおおお――――!!!!」




――――

――




 集う仲間たち。勇者ツヨシは約束に思いを馳せる。


(俺が旅立ったことは、全王国中に知れ渡っているはずだ。みんな、じきにここに来る)


 ここは、約束の地。そして、勇者の目の前に約束の仲間たちが現れる。

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