異常な力の装備品3
あのキングベヒーモスとの遭遇から数分後……4人はすでに最下層までたどり着いていた。ティリアはその間に起きた衝撃的な出来事を目の当たりにして、頭が真っ白になりながらも、なんとかトボトボと歩いて3人について来ていた。
ティリアがこうなってしまうのも無理からぬ話で、第二層では……
「なっ!?石化の力が強いキングバジリスク!!?」
ガコン!!コロン!!
「さぁ、次の階層に行きましょう」
第三層では……
「なっ!?ワイトキング!!?アンデット系最強モンスターだから物理攻撃は全く効かな……」
ガコン!!コロン!!
「さぁ、次の階層に行きましょう」
飛んで最下層前の階層では……
「なぁ!!?ヒュドラ!!?強力な猛毒を持つドラゴン系魔物!!?」
ガコン!!コロン!!
「そろそろ、次が最下層かしらね」
と、このような感じで進み、「迷宮」の魔物は全てリアの大盾によって消え、ティリアはおろかクロムもグランも何もしていない。彼らは歩いて落ちてる魔石を拾ってるだけだ。
(確かに……「迷宮」にはこれだけ魔物が出るっていうのは分かったけど、これって本当に「迷宮」を体感したって事になるのかな……?)
思わずそんな疑問が浮かんでしまうティリア。これだけ現実とは思えない体験をしたら、体感出来たかと言われたら疑問に感じるのも無理からぬ話ではあるだろう。
だが、しかし……ついにリアの大盾の効果が発揮されない魔物が現れる事になる。それは、4人が最下層の最深部にたどり着いた時……
カアァァォァァ〜ーーーーーーーー!!!!
圧倒的な光のオーラを放ち、白い翼をはためかせた異形な魔物が姿を現した。それは、魔物とは思えない神々しさがあった。その魔物を見たティリアには、一つピンとくるものがあった。
「アレって……!?まさか……!?天使種の魔物……!!?」
天使種とは、魔物ではあるが、光のオーラに、魔物ではあり得ない聖属性の力を持ち、更には特徴的な白い翼を持っている事から天使の見た目魔物という意味合いで、天使種と呼ばれている。
天使種は、弱いランクの者でもSランク扱いされている、敵わないからすぐに逃げろと言われる程、最強の部類の魔物である。
が、幸いというか主に出没が確認されてるのは「迷宮」だけなので、街の外なので出会う事は少ないし、街の外で見かけたという目撃例も存在しない。
だが、現在ティリア達はその厄介極まりない天使種の魔物に遭遇してしまったのだ。しかも、更に厄介なのは、ここは「迷宮」の最下層の最深部。つまり、この天使種の魔物こそが、この「迷宮」のダンジョンマスターの魔物。つまり、コレを倒さなければこの「迷宮」は攻略した事にならないのである。
更に、厄介な事に……
「……ふぅ〜……やっぱり天使種のダンジョンマスターは吸収出来ないか……」
「えっ!?嘘でしょ!!?」
これまで、数々の魔物をやはり吸収したらしいリアの大盾は、ここにきてその効果を発揮出来ないと言われたのである。たった4人だけでこの天使種の魔物を倒すなんてどう考えても不可能だ。絶体絶命の大ピンチ。
と、ティリアはそう思っていたのだが……
「まぁ、いいわ。もう十分だしね。フラッシュメテオ」
リアは杖を振るうと、全くの無詠唱で無属性の最上級魔法を天使種の魔物に放つ。
「はっ……」
あまりの衝撃的光景に、ティリアはそれしか言葉が放てなくなる。リアが放った魔法は、天使種の魔物に強力な隕石を降らせては爆散し、天使種の魔物はそれを受けあっという間にボロボロになり、そして……
パアァァァァ〜ーーーーーーーーンッ!!!!
まるで光が弾け飛ぶように天使種の魔物は消滅。天使種の魔物は僅か数分も満たない時間で魔石へと変わり、更には、ダンジョンマスターの魔物がいなくなった事で、「迷宮」が消滅し、4人は「迷宮」があった場所に立っていたが、もう「迷宮」はどこにも無い。
「これで、「迷宮」攻略は完了ね」
リアがたった一言そう言ったが、ティリアは今までの出来事が信じられず、しばらくの間呆然と立ち尽くしたままだった。
4人が「迷宮」に入ってから僅か数十分。その少ない時間と4人という少ない人数で、Aランク指定の「迷宮」が攻略された瞬間だった……
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