リアと共に「迷宮」へ

銀色の長い髪をなびかせてやって来たその美少女に、ティリアは思わず見惚れてしまう。同性だろうと誰もが一回は振り向いてしまうだろう。そう思わせる程の美貌が目の前の少女にはあった。


「リアさん。こちらは、うちのパーティーに新しく入った「治癒術師」のティリアです」


クロムがその美少女に自分を紹介し始め、ティリアはハッと我に返る。


「ティリア・アーネストです!!!よろしくお願いします!!!」


ティリアはその美少女に深々と頭を下げて自己紹介をする。その美少女は自分と同い年ぐらいだろうが、纏ってる雰囲気と、クロムの対応から高ランク冒険者に違いないと思い丁寧に挨拶をした。


「リアよ。よろしくね」


リアと名乗った美少女は簡潔にそう返した。なんというか、その所作の一つ一つが気品に溢れている。もしかしたら、元貴族だったりするのだろうか?「新魔国」では、元貴族で家を追い出され冒険者になった人々が沢山いたりする。だから、彼女もそういう事なんだろうなとティリアはそう思った。


「では、挨拶も済みましたので早速向かいますか」


「って!?ちょっ!?本当に4人で「迷宮」に向かうんですか!!?」


ティリアは目を見開いて驚きの言葉を口にする。いくら、クロムからリアは高ランクの「魔導師」であると聞かされているとは言え、魔導師2人に重戦士か1人、おまけに自分はまだまだ新米の治癒術師だ。とても、このメンバーでAランク「迷宮」を攻略出来るとは思えなかった。


「……もしかして、また何も説明してないの?」


「まぁ、元々俺は説明が苦手だからな」


「まぁ、アレに関しては見てもらった方が早いですから」


リアはジト目でグランとクロムを睨むが、2人がアッサリとそう返してきたので、リアは呆れたように溜息をつく。


「まぁ、いいわ。とりあえず、さっさと行きましょう」


リアがそう言うと、リアの両手に突然武器が出現した。

右手には、古めかしいながらも、しっかりとした木の杖が。その杖の上部分には怪しく光る紫水晶が付いていた。

左手には、リアの身の丈程の大きさの真っ黒な大盾が。その盾の前面には髑髏が描かれていて、しかも、杖と同じく目の部分に怪しく光る紫水晶が付いていた。


その二つの武器両方とも異様なオーラを放っていた。



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