ユニークスキル『マザー』ともう一つの力

ユニークスキル。それは、冒険者が持つスキルと呼ばれる特殊な力の中でも、最も強い力を持つとされるスキル。自分の中にある、隠された自覚のない個性が発現する事で覚醒すると言われているが、隠された自覚のない個性であるが故に、ユニークスキルを覚醒させた者は少ない。


が、一度このユニークスキルに目覚めた者はとてつもない力を発揮出来るようになる。ユニークスキルを覚醒させた者のほとんどが歴史に名を残した英雄ばかりだったりする。


その上、リアが目覚めたユニークスキル『マザー』は聖母神の力そのものと言われており、ユニークスキルの中でも、最強のスキルの一つである。そんなスキルを獲得したリアは……


「はぁ〜!マナとマリーは絶対将来は美人になるわね〜!そうなると余計な虫がつくかもしれないし、色々対策しないといけないかしら……」


せっかく物凄いスキルを獲得し、確実に「セイリーン聖王国」への復讐が出来るというのに、彼女の頭の中はマナとマリーの2人の将来の姿と、それに伴って付いてきそうな悪い虫の排除法などで頭がいっぱいになっており、スキル獲得の知らせの声も聞こえていなかったのか、スキルを確認する事すらしていない。

最早、それだけ今のリアは自分の復讐よりも、マナとマリーを立派に育てあげる事に夢中になっていた。まぁ、ユニークスキル『マザー』の獲得者は100%の確率で親バカになるので、リアのこの行動も珍しい事ではなかったりするのだが……


だが、リアにはユニークスキル『マザー』だけでなく、他にも託された力があった……


カアァァォァァ〜ーーーーーーーーーーーー!!!


「えっ!?何!?何!?」


突然、自分の服の一部が光り出し、マナとマリーにメロメロになっていたリアでも、流石にこの異変に驚き、確かめてみると、光を放っているのは「旧魔王城」で拾った石だった。


「何……?一体何が起きたと言うの……?」


リアはその石をポケットから取り出す。その石は紫色の眩い光を放っていた。すると、次の瞬間、その石が突然強い光を放ち、眩しさのあまりリアは目を瞑った。


そして、光が収まり、リアが恐る恐る目を開けたら……


「えっ……?これは……?」


リアの手に石は無くなっていた。その代わり、リアの右手の人差し指に、付けた覚えがない紫水晶を埋め込んだ指輪があった……

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