旧魔王城の散策
マリアナは食料は簡単に見つける事が出来た。一階を見て回ってる時に、偶然にも食堂らしき部屋を見つけ、すぐ近くに厨房も発見し、そこにいくつかの食料があった。しかし、問題もあった。それは…………
「食べられるかどうか……よね……」
初代の魔王が亡くなったのは遥か昔の話。それだけ年数が経っていれば、当然ここにある食料は全部腐っているだろう。マリアナは何回も食料を確認する。が、特に腐ってる様子はなかった。
「けど……普通に考えたら……」
マリアナは色々思い悩んだが、そこに追い打ちをかけるようにマリアナのお腹が再び鳴った。
「……背に腹はかえられないわね……」
マリアナは腐ってる可能性があると思っていても、空腹には勝てず、手に持っていた食料を口に含んだ。
「……美味しい……」
マリアナは食べた瞬間そう呟き、ポロリと一粒涙を流した。そして、その後は元公爵令嬢にはあるまじき食べ方で、その食料を食べ続けた……
お腹が満たされたマリアナが次に求めたのは、衣食住の衣の方だった。マリアナの服は現在囚人服が苛烈な拷問によりボロボロになり、最早服とすら呼べない代物を着ている状態である。この姿のまま外に出れば完全に悪目立ちだ。
「ここは……貴族が使う部屋かしら……?」
階段を上り明らかに豪華な部屋がある場所を見てそう考えるマリアナ。その部屋には、マリアナが求める衣服があった。マリアナも何度か着た事がある豪華なドレスがズラリと並んでいた。このドレスも何年も経っているとは思えない程保存状態がよく、すぐに着れる物だった。しかし……
「……ダメね……ドレスも逆に悪目立ちするわ……」
マリアナは、家では従者にも避けられていた為、ドレスは1人で何とか着るしかなかった。だから、その点に関しては問題ないが、現在のマリアナの状況に問題があった。
現在のマリアナは「セイリーン聖王国」では重罪人だ。恐らくは死亡扱いになってるとは言え、マリアナがこのドレスを着て「セイリーン聖王国」を歩き回れば確実に見つかって捕まってしまう可能性が高い。マリアナの復讐を成し遂げたい気持ちは強かった。
「他の部屋を探してみましょう……」
マリアナは貴族部屋を出て再び散策していると、今度は騎士団の詰め所と思われる場所があった。マリアナがなんとなくその場所の探っていると……
「……女性物のワンピース?女性騎士がいたのかしら?」
ロッカーを何回か探っている内に、マリアナは女性物のワンピースを発見した。そのワンピースは町娘が着るようなシンプルな物だ。これなら、あまり悪目立ちはしないだろうと考え、マリアナは早速そのワンピースに着替える。サイズは偶然か必然かマリアナにピッタリだった……
こうして、衣食共に満たされたマリアナだったが、これでさぁ!今こそ奴らに復讐を!と言う訳にはいかなかった。マリアナが復讐したい相手は国そのもの。最低限殺したい相手は国の重鎮達。それを1人でどうにか出来るとマリアナには考えられなかった。
「セイリーン聖王国」に侵入して、色々探ってから行動をする事も考えたが、先程騒ぎを起こしたばかりの人物が、再び戻ってきたら、すぐに見つかる可能性も高い。
「……とりあえず……また探索を続けてみましょう……」
ここは「旧魔王城」である。何か自分の復讐に役立つ物があるのではないかと考え、マリアナは再び散策を開始する。
階段を更に上り、マリアナがたどり着いたのは、先程の貴族部屋とは更に格式が違う大きな扉の前だった。
「もしかして……ここが魔王の部屋……?」
もしそうなら危険な感じもするが、好奇心に突き動かされたマリアナは、その扉に手をかけた……
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