298カオス セリフの長さと分量
多くの場合、小説は「地の文」と「セリフ」からできています。地の文とセリフを比べると、セリフの方が比較的書きやすくないですか? わたしは断然セリフの方が書きやすいです。読む方としても、地の文を読むよりせりふを読む方がスラスラ読めて、気持ちがいいと感じます。
ここ数年、純文学系の小説を読むことが多いのですが、こうした小説は地の文が長いケースがあり、読むのが辛くなってくるときがあります。文中にセリフであることを示す鍵括弧がなくて、途方に暮れることもしばしばです。えんえんと地の文が続くと、文字を目で追うのがしんどくなってきて、いわゆる「目が滑る」状態になってしまいます。こうなると小説の内容がまったく頭に入ってきません。
――セリフってとても大事だなあ。
わたしは、なるべく読みやすく書かれている小説がよい小説だと考えているので、小説を読みやすくしてくれるセリフの長さと分量は、小説を構成する要素としてとても大切な役割をもっていると思います。ただ、読みやすいからと言って、セリフばかりで物語を進めると、読者の頭のなかにまったく情景が形作られないというスカスカの小説になってしまう。「セリフ」というのは取り扱いが難しいものでもあります。
わたしの場合、一人称で小説を書くと、かなりセリフの長さが短くなり、分量も減ってしまうことがわかりました。主人公の内心描写を地の文に書いてしまうので、セリフに頼らずに書いてしまうようです。自分で書いていて、「まずいなあ。読みにくいなあ」と思ってます(苦笑)
あと、セリフが短い方が
無口な人間というのが、何を考えているか分からず、扱いにくいという評価を受けがちなこともよく分かっていますから――なおのことカッコよく描写したくなります。短いことばのやりとりで分かり合えるキャラクターって、かっこいいじゃないですか。長セリフってどうしても説明的になってしまって……説明セリフってカッコ悪いでしょ。
セリフが短く、分量も少ないわたしが、こう書くのも変なのですが、セリフと地の文は半々くらいが読みやすくて、描写にも満足できる「ちょうどいい書き方」だと思います。いまは読みにくい書き方を承知で書いていて、「読者ファースト」じゃないですね。また、三人称で書くようになったら、そういう目安をもって文章を書いてみようと思います。
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