297カオス 小説の部分と全体

 こんにちは。昨夜、短編をひとつ書き上げてホッとひと息ついている藤光です。その短編には『夏の断片』というタイトルをつけたのですが、われながら小気味のいいタイトルをつけることができたと自画自賛。なんどもスマホで読み返しています(笑)


 自分の書いた小説が好き――とさんざんエッセイで自画自賛して回っているわたしですが、数年前の小説を読むと「アレッ」と思います。


 ――あまり好きじゃないかも、これ。


 紛れもなく自分自身が書いた小説なのですが、以前ほどおもしろく感じられません。どうやら、書いているうちに文体の好みが変わってきているようなのです。


 小説のネタ、アイデアといったものはさほど変わりませんが、ネタの表現方法とか演出の仕方というのが変わっているようです。もちろん、いまの書き方の方が、いまのわたしにはしっくりくる。


 以前のわたしは、乾いた感じの三人称が物語を傍観者的に描写するのがカッコいい文体だと思っていました。いまは泥くさい一人称に、語り手である主人公の視点から物語を描写させている小説が多い。正直文章としてはカッコわるいと思います。でも、人の内面というのは、外面そとづらほど整えられないので、リアルと言えなくもない。


 ただ、わたしの一人称小説は練習として書いているつもりなので、ある程度納得のいくレベルの一人称が書けるようになったら、また三人称で書くようにしたいと考えています。それは、わたしが小さい頃から読んできたSFやミステリが三人称で書かれていたから。わたしが書きたいのは、結局そういう小説だから。


 10から20文字のセンテンスとして美しく、数万から10万文字の物語としておもしろい。部分として「美」、全体として「趣」。そんな小説が書けるようになれたらいいなあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る