293カオス プロデュースする能力

 なかなか衝動買いってしないのですが、たまには衝動買いすることもある藤光です。昨日は、台風のおかげで大荒れの一日でした。みなさん大丈夫でしたか。今回は、ちょっと前に衝動買いした本と作家さんについて書きます。


 その本とは、『別冊NHK100分de名著 果てしなき石ノ森章太郎』です。


 久しぶりに100分de名著ネタです。前回は、漫画家の萩尾望都さんでした。今回も、漫画家、石ノ森章太郎を取り上げた100分de名著のスペシャル企画を元にした本です。


 石ノ森章太郎――知ってますか? 知りませんか?

「マンガの神様」手塚治虫に見いだされた早熟の天才漫画家。有名なトキワ壮のメンバーとして藤子不二雄、赤塚不二夫らと切磋琢磨したと漫画家でありながら、同じ漫画家仲間からも天才と認められる才能を発揮した人物です。


 ただ、現在アラフィフであるわたしくらいの世代が子どもの頃でさえ、石ノ森章太郎という人は「終わった漫画家」とみなされていました。名前はよく知っているけれど、その作品を読んだことのない漫画家(明治、大正の文豪みたい)だったのです。


 この本で取り上げられている石ノ森章太郎の作品を発表年代順に並べてみます。


『さるとびエッちゃん』(1964年)

『サイボーグ009』(1964年)

『佐武と市捕物控』(1968年)

『仮面ライダー』(1971年)


 これらの作品が選ばれたことからもわかるように、石ノ森章太郎の漫画家としてのピークは60年代で、80年代に10代だったわたしから見ると、20年もむかしの漫画家だったのです。


 なぜわたしが石ノ森章太郎の名前を知っているかというと、『仮面ライダー』と『サイボーグ009』です。『仮面ライダー』は男の子なら誰だって知っている特撮ヒーローものの金字塔でしたし、『サイボーグ009』の第二期アニメにはドはまりしてました、どちらも石ノ森章太郎原作とは知らずに見ていましたが、どちらも後でマンガ作品を見て「石ノ森章太郎の描いたマンガが原作だったんだ」と知り、漫画家としての認識したという感じでした。


 発表と並行して読んだ石ノ森作品としては、『仮面ライダーBlack』(1987年)、『マンガ日本の歴史』(1989年)などがありますが、どれもわたしにとってはぴんとこないものばかりでした。ただ、石ノ森章太郎という人は不思議な人で、『マンガ日本の歴史』はとても評判になりましたし、原作漫画を描いていた『HOTEL』のドラマが大ヒットするなど、漫画の出来とは別に作品のコンセプトを示し、プロデュースする能力においては、晩年までとても優れていた人だと思います。


 プロデュース能力……いまのWeb作家にもっとも必要な能力では? 石ノ森章太郎が生きていたら、いまの時代にどんな作品を発表したでしょうね。亡くなるのが早すぎたなあ。

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