282カオス 「書く」衝動を得るために

 きのうの近況ノートに書いたので、読んだ方もいるかと思うのですが、藤本タツキさんの『ルックバック』。ネットニュースでも記事になってますが、すごいです。マンガを書いている人はもちろん、小説を書いている人も必読のマンガです。「書く」衝動を描いてます。です。まちがいない。


https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496401369355


 藤本タツキさんは、少年ジャンプ連載の『チェーンソーマン』で有名な人気漫画家さんです。ただ、わたしは『チェーンソーマン』読んでません。書店の書架に下がってる一話お試し読みの冊子を読んだだけです。しかも、今日(笑)たぶん読まないと思う。


 良い。悪い。

 そういうのじゃなくて、わたしは『うる星やつら』とか『ドラゴンボール』とか、そういうノーテンキなマンガを「おもしろい、おもしろい」と読んできた世代で、『呪術廻戦』や『チェーンソーマン』のような影の落ちた世界観を読ませるマンガは、おもしろいとは思うけれど、心の底から楽しめない。マンガにもとめているものが違うって感覚。

 良い。悪いじゃないんです。


 でも、『ルックバック』はいいですよ。

 簡単に書くと、マンガを書いているふたりの女の子を主人公に据えた青春もの。活発でなんでも器用にできるアイデアマンの藤野と、情景描写に非凡な才能を示す不登校児の京本が、お互いに力を認め合う親友として、またライバルとして漫画家を目指すのですが、高校卒業を機に藤野はプロの漫画家としてデビュー、京本は絵の勉強をするために美大へ進学と進路が分かれ……というお話。


 作中、繰り返し描かれるのは、「マンガが上手になりたい。そのためには描いて描いて、描くしかない」とうことと、もうひとつ「読んでくれた人が喜んでくれるから、認めてもらえるから描き続けることができる」ということです。143ページの大作読み切りは、このふたつのことばかり描いている。


 マンガを描いている、マンガバカの女の子ふたりのことを漫画家である藤本タツキさんが描いていて、そういう意味ではすっごく狭い世界のことしか描かれていないのに、マンガを描いている人以外にも広く読まれて支持されています。


『ルックバック』に描かれたふたつのことは、「小説」に置き換えるとそのまま小説を書いているわたしたちに当てはまります。小説が上手になるには「書いて、書いて、書くしかない」と思いますし、書き続けるためには「読んでもらわなければならない」と強く感じます。そういう意味で『ルックバック』はわたしたちのことが描いてあるんです。引き付けられずに読めるわけがない。


 7月19日にネットで公開されたばかりですが、9月3日に早くも単行本が発売されるらしい。買わないといけないなあ。「書く」衝動を得るために。今回もマンガの話でした。。。ではでは。

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