278カオス 他愛のない話 マンガについて

 前回は、今日マチ子さんの『COCOON』について書きました。内容をまとめて書くのが難しい本で、困ったね~という本でした(笑)


 今回は、戦争ものつながりということで、こうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』について書いてみます。戦争もの苦手な人スミマセン。


『COCOON』は、沖縄戦での「ひめゆり学徒隊」をモチーフにとったマンガでしたが、『夕凪の街 桜の国』は、ヒロシマの被爆者にフォーカスしたマンガです。二回つづけて重いテーマだ。


 こうの史代さんが、あとがきに書いています。


 「広島の話を書いてみない」と言われたのは、一昨年の夏、編集さんに連載の原稿を渡して、帰省したとかしないとか他愛のない話をしていた時のことでした。やった、思う存分広島弁が使える! と一瞬喜んだけれど、編集さんの「広島」が「ヒロシマ」という意味であることに気が付いて、すぐしまったと思いました――(『夕凪の街 桜の国』あとがきから抜粋)


「ヒロシマ」って、ご自身が広島出身のこうの史代さんをして、「しまった」と言わせてしまう、いわばこの国の禁忌タブーなんだと思うのです。こうのさんは、わたしとさして年も離れておらず、戦争は知らない世代です。広島生まれということもあって、なおさら「わたしにヒロシマを描く資格はない」と考えたとしても無理はないと思います。


 ――描いていいのだろうか。


 きっとそう考えながら書かれたであろう『夕凪の街 桜の国』は、でも傑作ですよ。すごくおもしろい。戦後世代なので、直接戦争を描く場面はありません(おなじくヒロシマを舞台にした『この世界の片隅に』にもほとんど戦闘シーンの描写はありませんでした)。こうのさんなりのけじめだと思うんです。


 戦争自体を描くことなく、戦争が終わって10年たっても、50年たってもつづく戦争被害者の痛みを描き切った傑作。『COCOON』も傑作だと思いますが、『COCOON』が感覚的で書き手の才能に依存した作品に見えるのに対して、『夕凪の街 桜の国』は、書き手の地道な取材と綿密な構成力(汗と時間)で組み立てられた作品という違いがあるように思えます。


 前回と今回、マンガについて書きましたが、いいですねーマンガ。

 この国のマンガ文化は世界一だと思う。なんかおすすめのマンガあります? 

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