267カオス ぼくのお父さん
ことさら構えて読む本ではありません。
ものの30分もあれば、読み終えてしまいます。
すごいキャラクターは出てきませんし、ドラマチックな展開があるわけでもありません。
でも、なにか大切なことが書いてあるような、なおざりにしていてはいけないような。そんな本です。
『ぼくのお父さん』(矢部太郎 新潮社)
『大家さんと僕』がベストセラーになったお笑い芸人、カラテカ矢部こと矢部太郎さんの漫画です。矢部さんが、小学校にあがる前、まだ小さかった矢部さんと絵本作家のお父さんとの日々を振り返って描いたエッセイ風漫画です。
絵本作家のお父さんは、なんでもスケッチします。矢部さん(ぼく)のことも、家族のことも、夕食のおかずも? お母さんが働いていて、お父さんはスケッチをしています。ときには、ぼくをつくしを取りに連れて行ってくれたり、いっしょに縄文土器を焼いてみたり、花火を見るため屋根に上ったりします。フツーじゃなくて、ちょっと変わったお父さんです。
言葉じゃうまく伝わらないと思うので、気になる方は本屋さんで見てみてください。立ち読みで最後まで読めてしまうくらい軽妙なタッチの漫画です。
いいなーと思います。
ぼくのお父さんのように生きたいです。決して人から褒められるような生き方ではありませんが、あこがれます。現実のわたしは、ぼくのお父さんを裏側から見るような生き方をしてて、毎日やだやだと思いながら出勤してます(笑)そりゃ、生活に不自由がない程度にお給料はもらえますよ。でも、それと引き換えに失っているものもあるよなあと、しんみりします。
矢部さんのお父さんは、やべみつのりさんという絵本作家さんなのですが、ネットで去年のインタビュー記事を見つけました。
――妻がフルタイムで働き、子どもたちと長く過ごしていたのは僕でした。ただ、子育てとは違ったと思う。親は子どもの前にいて「気をつけて」と導くものだけど、僕は後ろから見てて「あ、転んだ、どうするのかな」と観察する感じ。それを絵日記にもしていました(2020年6月14日東京新聞から抜粋)
めちゃ共感する。
うちの奥さんは、子どものすることを先回りしてやりやすいようお膳立てしてあげたり、やり終わったあと、あそこがダメだったから次はこうしなさいとか「子育て」をしようとします。わたしは「この子、どうするんだろう」と観察してます。うまくいけばいっしょに喜んで、ダメだったらいっしょに悔しがっています。たぶんこれは一般にいう「子育て」じゃない(笑)
漫画を読むと、矢部さんがお父さんのこと大好きなんだなということが伝わってきてほっこりできます。うちの息子も、お父さんのこと好きになってくれたらいいなあと思いました。
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