265カオス 私の本棚からオススメ10選

 なんか、ニンテンドースイッチのおすすめソフトないかなと考えながらスマホをいじっていると、似たようなサイトにいろいろ行きつきました。どれもこれも同じようなソフトばかり取り上げいておもしろくない(『ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ザ・ワイルド』と『あつまれどうぶつの森』しかやってません。おすすめソフトがあれば、ぜひ教えてください)。


 などと考えているうちに、じぶんの蔵書から「おすすめ10選」でも作ってみる? と思いついたので、忘れないうちに本棚から10冊もってきて無理矢理オススメしてしまいます。「ふーん」というスタンスでご覧ください。


①コンビニ人間(村田紗耶香 文春文庫 税別580円)

 村田紗耶香さんの芥川賞受賞作『コンビニ人間』は、タイトルがキャッチ―です。タイトルだけじゃなくて中身もめちゃ面白いです。コンビニ店員として働くことに「生きている」と感じられる変な女性(読む人によっては変とは言えない)の変な生活を描いた小説です。こんなにおもしろいのに「人間」を描けているのがすごい。


②大きな鳥にさらわれないよう(川上弘美 講談社文庫 税別780円)

 以前、このエッセイにも書いたのですが、緩慢な滅びの道をたどる人類が、人工知能と遺伝子操作にみずからの運命をゆだねて臨む未来史を描いた小説。めっちゃすばらしい。すごいSFだとおもうのだけれど、SFとして評価されているのか? 泉鏡花文学賞受賞作。


③博士の愛した数式(小川洋子 新潮文庫 税別550円)

 80分しか記憶がもたない「博士」とその家政婦を務めることになった「私」、それから私の息子「ルート」が織りなす「愛」の物語――などと書いてしまうと陳腐な小説みたいですが、特別な小説です。傑作。読売文学賞、本屋大賞受賞作。


④月の満ち欠け(佐藤正午 岩波文庫的 税別850円)

 簡潔で美しい文章は完璧。凝りに凝った構成は見事。語られる物語は不思議。30年にわたって、ひとりの女にほんろうされる三人の男たち。すごい小説。直木賞受賞作。


⑤よろこびの歌(宮下奈都 実業之日本社文庫 税別533円)

 音楽の才能にめぐまれながら、挫折を経験した高校生が校内合唱コンクールを機に立ち直っていく過程を、複数の同級生の視点から描くオムニバス小説。宮下奈都さんは、本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』で有名ですが、わたしはこっちの方が好き。すごくいい。


⑥三体(劉慈欣 早川書房 税別1900円)

 万年金欠のわたしが、おこづかいをはたいて単行本を買った2019年の話題作。前評判に偽りなし、めちゃくちゃ面白かった。想像を絶する環境で進化をとげた異星人「三体人」と、地球人類が何光年もの距離を隔てて交信する様子を描く、ファーストコンタクトものSF。とにかく、想像したこともない状況と設定に驚かされる。ここ十数年、こんなにびっくりしたことはないと思わされた傑作。ヒューゴー賞受賞作。


⑦ニッポンの文学(佐々木敦 講談社現代新書 税別860円)

 文学ってなんじゃらほいと、まったく要領を得なかったわたしにそれなりの現代文学の知識を与えてくれた本です。「文学」っていうと、純文学についてあれこれ書きたててあって、うんざりさせられる本が多いのですが、この本は純文学を「純文学を掲載する文芸誌に掲載されたジャンル小説である」と割り切っていてわかりやすい。そのうえ、ミステリやSF、ラノベにまで言及してくれるこの本はとても好印象。


⑧ポピュリズムとは何か(水島治郎 中公新書 税別820円)

 アメリカ大統領だったドナルド・トランプという人を政治的に支持する人たちの気持ちがまったく分からなかったんです。「ポピュリズムってなんだ? なんでこんなヤツを国の代表にしてしまうんだ」って。そもそもいま世界を席巻しているポピュリズムってなんなんだという問いに、一定の答えをくれる良書。石橋湛山賞受賞。


⑨別冊100分de名著 ナショナリズム(中島岳志、島田雅彦、中島岳志、ヤマザキマリ NHK出版 税別900円)

 『ポピュリズムとの何か』と併せて読むと、内向き内向きになっているこの国の政治情勢を見る目が鍛えられると思います。特に大澤真幸さんが本文中で解説してくれる『想像の共同体』の内容は、目からウロコでした。ナショナリズムって、近代になってから人々の頭に住み着くようになった怪物なんだってよく分かります。現代人なら必読。


⑩別冊100分de名著 メディアと私たち(堤未果、中島岳志、中島岳志、高橋源一郎 NHK出版 税別900円)

 この本で読むべきところは、堤未果さんが解説している『世論』(ウォルター・リップマン)の箇所だけでいいです。メディアによってわたしのたちの意志は操作され得るということが書いてあるらしいです。じっさい、政府によるプロパガンダに利用され、時代に応じて大衆の意志は操作されてきた(成功した場合もあれば、失敗した場合もあるでしょうが)のです。SNSなどで直に情報の発信者とつながれる現代では、「メディアのいいところと、悪いところ」は絶対に知っておかなければならないと思いました。


 おー。10作もあると意外と文字数書いてしまいました。

 いつのまにか11時半じゃないか、眠すぎるぞ。

 おやすみなさーい。

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