202カオス 元祖、探偵小説

 活字中毒とはいえないまでも、常に本をもっていないと不安になるわたし。時間ができたときに、ぱっと開いて読むことのできる文庫本がカバンの中にないと「しまった、持ち合わせがない!」と本屋さんに立ち寄って本を買ってしまうことがあります。この調子では、どんどん読みかけの本が増えていってしまいそうなのですが……。


 エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」を読みました。


 知ってます?「モルグ街の殺人」

 現代的なミステリの型を作ったポーの元祖、探偵小説だそうです。学生のころ一度読んだはずなのですが、すっかり話の筋は忘れていて、途中まで犯人について見当もつきませんでした。


 読み返すとふたつほど、発見がありました。


 ひとつは、ポーの名をもじってペンネームとした江戸川乱歩のエログロ趣味との親和性です。


「モルグ街の殺人」の探偵役、オーギュスト・デュパンは奇人変人と描写されているし、事件そのものも猟奇的な殺人事件(異常な方法で人が殺害される事件)です。めっちゃ乱歩的。ポーは異常性の高い奇妙な事柄に執着せずにいられない性癖の人だったんじゃないでしょうか。


「人間椅子」とか「屋根裏の散歩者」など、乱歩の普通でないセンスと相通じるものがあると納得しました。


 もうひとつは、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズとの類似性です。


 もちろん、コナン・ドイルが「シャーロック・ホームズ」において、ポーの「モルグ街の殺人」を模倣しているというのが正しいのですが。


 シャーロック・ホームズと相棒のワトソン博士とのコンビは有名ですが、「モルグ街の殺人」に出てくる探偵オーギュスト・デュパンと友人の「私」の関係は、ホームズとワトソンの関係そのままです。また、デュパンが対象を分析する手法は、そのままホームズが事件を分析、推理する手法に受け継がれています。


 ――まんま、シャーロック・ホームズやん!


 数十年ぶりに読み返して、新たな発見があるとは。古典とよばれる小説はこれだからおもしろいですね。

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