164カオス 漫画と小説

「浦沢直樹の漫勉」をみた。

 この秋やっていたらしい最新シリーズではなくて、6年前にはじめてEテレで放映されたもの。YouTubeの(違法)アップロード動画だ(汗)


 普段、テレビは観ないので「漫勉」という番組を知らなかったけど、とてもおもしろかった。「漫勉」は、漫画の制作過程を記録した映像を残したいと、漫画家の浦沢直樹さんとNHKが、現役の漫画家さんに取材してその漫画の制作過程を映像に記録させてもらうというコンセプトの番組。漫画家という仕事は、みんな同じことをしているように見えて、漫画が完成するまでのやり方は漫画家によってそれぞれちがう、それを記録しておきたい。きっと観たいと思う人も多いはずだ――という浦沢さんの考えだそうです。


 うん、めちゃ観たい!

 じっさい見たら、とてもおもしろかったです。プロの漫画家同士、お互いの制作方法の違いに驚いたり、共通する悩みに共感したりと見ていて飽きませんでした。


 わたしが見た動画に登場した漫画家さんはふたり。かわぐちかいじさんと山下和美さん。人選が渋いな〜。


 かわぐちさんにしろ、山下さんにしろ、仕事(漫画を書くこと)への姿勢が誠実でした。アイデアをネームに起こして、下書き、ペン入れ、仕上げと漫画の制作は進んでいくのですが、何十年もやってきているのに、ああすればよかったんじゃないか、もっと上手くなりたいとホントにこの人たちはベテラン漫画家なのかと思うくらい、漫画表現に対して誠実。


 ――小説家もきっとそうなんだろうな。


 漫画家の番組でしたが、漫画家さんの向こうに小説家を思い描きながら見てしまいました。


 ――小説と誠実に向き合ってるか、おれ。


 彼我のちがいを思い知らされました。


 それに、プロの小説家はもっとしんどいかもしれない。漫画の仕事はアシスタントとの協働だけれど、小説を書くのはたったひとりの作業だから。


 ――ここの流れは納得いかん!


 とかいって、小説家は原稿用紙何枚分ものデータをボツにしたりするんだろうか。「漫勉」では山下和美さんが何時間もかけて下書きとペン入れをした原稿を、こっちの方がいいって別の原稿と差し替えてました。うーん、わたしにはとてもそんなことはできない……。




 おもしろかったなあ。YouTubeにほかにも「漫勉」の動画ないかな(あくまでタダで観ようとするヤツ)。




☆ 浦沢直樹さん

「Monster」と「20世紀少年」で、90年代、00年代を席巻した漫画家さん。全巻持ってた。両作は、サスペンス漫画として、神がかり的におもしろい。


☆ かわぐちかいじさん

なんといっても原子力潜水艦が独立国家を宣言するという「沈黙の艦隊」が代表作。ただ、個人的にはキャラの乾いた感じ(ハードボイルドな?)と緊迫感が苦手です。


☆ 山下和美さん

「天才柳沢教授の生活」が好きです。単行本買ってましたもん。男性作家にはなかなか描けない繊細さにヤラレてました。

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