162カオス 自己分析してみよう

 今回は、前回の「名刺がわりの10作」を受けて、わたしたちがどういう作品を書いていけばいいのかを考えてみたいと思います。


 小説を書き始めた頃は、自分の書きたいものを書いていた。「わたしにも小説が書けた」ということに満足していました。それを読んでもらえたり、コメントがついたりすることがうれしくて、次の物語を書いて……。


 それがいつの頃からか、自分はどういう作品を書けばいいのだろうと考えはじめます。わたしはそうだったんです。それから、なにを書いたらいいんだろう」ずっと考え続けているといってもいいくらいです。


 最初は書きたいものを書いていて疑問はなかったのですが、そのうち欲が出てくるんですよね。


 もっとPVを稼ぎたいとか、賞を取りたいとか。


 好きなように書いているだけでは物足りなくなって、作品をもっと高く評価してもらいたいと思うようになるみたいです。


 カクヨム のほかの作品をみると、自分よりずっと高評価を受けている作品がある。どうしたら自分もああいう作品が書けるようになるのだろう。そっくりコピーすると二次創作パクリになってしまい、不味いだろうから、自分のオリジナル作品で勝負しなければならないが、どうすれば人気作が書けるのか見当もつかない。


 と、まあこんなことを脳内で思い巡らせたあげく、「なにを書けばいいんだろう」という疑問に突き当たっているのです。みなさんはどうですか? わたしのみるところ、カクヨム 作家さんたちは似たような悩みを抱えつつ毎日連載したり、ほとんど書かなかったり(わたしは後者です)してるように思うのですが。


 しかし、なにを書けばよいのか悩んでいるのは、カクヨム 作家だけではありません。あらゆる創作に携わる人たちは、自分に作れる作品と自分が作るべき作品とのあいだで悩み、葛藤しています(と思います)。


 手探り状態で小説に向き合っているわたしですが、ヒントのようなものに気づいたので、ちょっと聞いてもらっていいでしょうか?


 中村文則さんだったか、石田衣良さんだったか、ほかのだれだったか(オイオイ)、とにかくプロの作家さんが「結局、これまで読んできたものが、その人の書くものに表れるんですよ」みたいなことを言ってたんですよ。


 ――読んできたものが、書くものに表れる。


 これは書き手の限界であると同時に武器でもあるってことではないですか。


 たとえば、客観的にみて、ミステリばかり読んできた人が、芥川賞作家に憧れて純文学を書いたとしても、なかなかうまくいかないと思うんですね。

 こういう人の適性は、芥川賞にあるのではなく、乱歩賞にあるのではないか。書くジャンルと読者層は、自分に合ったものを選ばない法はないってことです。

 そして、そのためには、ってわけ。


 前回、影響を受けた10作を挙げたので、わたし自身について分析してみると、こんなふうになりました……。


① 娯楽小説が多い。

  ほとんどがエンタメ小説でした。純文学はひとつだけだった。

② 現実離れしたものが多い。

  SFやファンタジー、時代小説が好きなので、基本的に現実離れしてます。

③ 作品が政治性、思想性を帯びていない。

  世代的にそういうのはダサいとか、懲り懲りだと考えています。

④ 内容が具体的にイメージしやすい作品が多い。

  SFやファンタジーでも、抽象的、観念的なものは苦手です。アタマワルイから。

⑥ 情緒的な作品が多い。

  筋道立てて論理的に読むというより、感情に訴えてくる描写を楽しんでいる。


 うーん、書き上げてみると、「そうそう。そういうのが好きなんだよ」と納得です。いままで好きで読んできた小説のエッセンスを取り出すと、ほんとに①から⑥の感じです。


 ということは、ですよ。

「読んできたものが、書くものに表れる」とするなら、わたしは純文学っぽい文章を書いてるのは、的外れなわけです。


 ……なんか、わたしが今書いてる小説間違ってる?


 分析結果から導かれる、わたしが書くべき小説って、わかりやすい言葉で書かれたSFや時代小説ってことになるのかな。


 うーん、ちょっと今後について検討します(笑)

 みなさんはどうですか。自分が書くべき小説ってわかってますか?

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