143カオス 年をとるということ

 およそ半世紀生きてきました。


 人生を一年とか、十年とかいう単位で計れるうちは、まだその人は若いのだと最近考えるようになりました。

 百年単位で数えるようになってはじめて分かることがある。語れることもあるということに気づきはじめた今日この頃です。


 50年というのは、みじかいようで相当長い期間です。


 子どもの頃、スペースシャトル「コロンビア」の打ち上げをテレビで見たし、ファミリーコンピューターで「マリオブラザーズ」を遊ぶこともできました。


 国鉄は民営化してJRとなり、「ドラゴンクエストⅢ」発売され、バブル経済の盛り上がりに、この国も人も踊り狂います。


 そうするうちに、ソ連にゴルバチョフが現れ東西冷戦が終結。ベルリンの壁は突き崩され、世界の構造がテレビの向こうでどんどん変わっていきました。


 やがて阪神淡路大震災が起こり、オウム心理教が国家転覆を企図したテロを起こします。狂乱の時代は去り、不幸と停滞の二十年が始まっていたのです。


 世界のきな臭さは21世紀に向けて加速してゆき、2001年9月、ついに頂点に達したそれは、世界貿易センターのツインタワーを突き崩しました。


 そしてその残骸から、テロと内戦、富の偏在と感染症による恐怖に覆われたいまの世界が立ち現れてくるのです。


 いや〜。長いこと生きてみるもんですね。少なくともあと四十年は生きようと考えているので、このあと世界がどういう姿を見せるのか、とても楽しみです。



 前回リテラシーの話を書きましたが、長く生きて経験を積むと、若い頃には持っていなかったリテラシーを身につけることができるように思います。経験を積み重ねることによって、能力の欠如が穴埋めされるのでしょうか。時間というのは偉大です(笑)


 白髪のおじいさんになる頃には、どういう風に世界が見えているのか、どんな本を読めるようになっているのか、いまから楽しみです。

 

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