138カオス こんなところも読まれてる

 わたしが目を通す本の箇所。


「奥付」


 奥付って本の末尾についている、タイトルや著者名、出版社など書いてあるあのページです。エッセイを書くにあたって調べましたが、必ずしも奥付をつけなくてもいいようですが、出版業界の慣習としてつける出版社が多いらしいです。


 特に興味があるのは、その本がいつ出版されたのか記載してある箇所です。


 ◯年◯月◯日 初版発行


 などと書いてある。


「ほう。◯年前の本かあ。ぜんぜん知らなかった。◯年たって初版ということは、売れてないのかな」


 なんて考えます。いつ初版されたのかはかならず見ちゃいますね。「あー、あの頃ね。おれは◯◯してたなあ」と芋づる式に記憶が引き出されたりします。


 出版日の記載には、各出版社ごとに微妙な違いがあり、


 ◯年◯月◯日 初版発行

 ◯年◯月◯日 五版発行


と書かれていたり、



 ◯年◯月◯日 第一刷発行

 ◯年◯月◯日 第五刷発行


と書かれていたりします。「版」と「刷」の違いがわかりにくい。調べると言葉の意味はわかりました。


 そもそも「版」というのは、本を印刷するための原版のことらしいです。昔は活字を組んで(もっと前は、木版を切り出して)原版を作り、それで本を印刷していた。初版とは「最初の原版」という意味です。原版がすり減るなどして使えなくなると、第二版、第三版……と新たな原版をつくり直して印刷しなければなりませんでした。版を変えるときは、誤りの表記を直したりバージョンアップすることがあるそうです。


「刷」は、「すり」とも呼ばれ、「刷り」すなわち印刷することを指します。本はあらかじめ発行部数を決めてから印刷するので、最初に5000部刷ったとすると、その五千冊の本が「第一刷(初刷)」です。以下、第二刷、第三刷……ですね。増刷といいます。増刷が重なって「刷」が多い本は単純によく売れていると考えていいと思います。



 平成年元年◯月◯日 初版第一刷

 平成二十五年◯月◯日 第二十三刷 改版

 令和二年◯月◯日 第三十刷


と奥付にあれば、


「平成元年に最初に発行されて、二十五年に改版ということはバージョンが変わったんだな。そして今ので三十回増刷を繰り返してると、時代が変わっても読み継がれている本かあ」


という風にその本のことをあれこれ考えるのが楽しい(笑)


 ただ、いまの本づくりの工程は多くがデジタル化されているらしく、「版」と「刷」を分ける理由がなくなってきているようです。増刷する際に誤字とかを直したり、かつてより手間がかからないのかもしれません。第五版とか奥付に書いてある場合は、第五刷と同じ意味だったりします。


 もっぱら小説ばかり読んでいるわたしですが、小説以外にも本はたくさんあって、それら本の奥付を読むのも楽しいですね。出版社によっていろいろなので。

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