129カオス 真実のディストピア

 白雪さんが企画し、合計145作品が参加した自主企画「第四回 白雪賞」の発表がありました。


https://kakuyomu.jp/works/1177354054905279333


 わたしも『わたしの欠片』で参加させていただきました。結果は選外。とても悔しくて朝からむしゃくしゃしてるというのが正直な気持ちです(笑)ま、わたしの力不足だけは仕方がないか。


 この企画、驚くことに白雪さんがひとりでやっていて、全部の作品を読み、かつ、レビューを付け、なんなら作家からやってきたコメントに返事も付けている。わたしも丁寧なレビューをいただき、ありがたいありがたいと拝読しました。

 わたしの作品は1万字程度の読み切りですが、何万字にもわたる連載作品も参加していて、それを全部ではないにしろある程度読んで、レビューにまとめる……なんて、ひとりでやろうと思ったらどれほど大変なことか。しかも145作品もある。途方もない作業です。わたしにはムリ。


 6月28日に参加が締め切られ、9月9日に白雪賞の発表。なんというかスゲー人だ。コメント欄に書かせていただいたが、このエッセイにも書いておきたい。


 尊敬します!


 白雪賞に参加して感じたことを、忘れないうちに書いておきます。


 拭っても拭っても、ぬぐいきれないモヤモヤ感。


 白雪さんが賞に費やした時間と汗を否定するわけではありませんが、賞レースが終わった後のこのモヤモヤ感にはカクヨム の闇を垣間見る思いです。


 モヤモヤの理由は、ずばりレビュー。


 小説を書く人はみなレビューがほしいじゃないですか。わたしもほしい。だからこそ「必ずレビュー付けます」という白雪賞に参加したという面もあります。(白雪さん大変ですよ、この条件)


『わたしの欠片』も白雪さんに読んでいただいてレビューを書いていただけました。とても、ありがたいことです。が――


 かなりモヤモヤするレビューです。

 わたしも五年弱、Webで小説を書いたり読んだりしてきて、他の作家さんの作品にいくつもコメントを残してきましたし、もらってきました。その経験からいうと、白雪さんホントに感じたことを書いてないですよね。嘘はついていないにしても。レビューの向こうにうつろが見えます。わかってしまうんですよ文章を整えて書いたところで。レビューを読んだ人も分かると思います。「なんでこんなレビュー書いたの?」って。


 白雪賞のレギュレーションが「レビューは残す」ことになってるので、白雪さんは約束どおりそうしてるまで。白雪さんが悪いわけではない。なにが悪者か?


 カクヨム に蔓延する「悪口は書かない」ルールが悪さをしている。


 カクヨムには、作品や作家を貶めない文化が根付いてるじゃないですか。レビューやコメントを受取人の側から削除できるサイトの仕様がそれを助長してますしね。

 わたしは、もともとコメント欄で罵詈雑言飛び交うような荒れたサイトで書きはじめたので、カクヨム がはじまったときは「なんてクリーンな小説投稿サイトだ。Web作家のユートピアか!」と感動したことを覚えています。


 でもねーカクヨム で実際書いてみると違った。サイトの仕様に萎縮したのか、作品に意見するコメントがほぼないんだ。誹謗中傷は論外としても、「ここをこうすればいいのに」とか「この箇所は余分だから削ったほうがよい」とか「この表現は間違っている」といった読者からのダメ出しは必ず素人作家のためになる。読み合い、褒め合いをしていても、小説を書く腕はなかなか上がらないんだよ〜。


 わたしは白雪さんにほんとうに感じたことを書いてもらいたかった。わたしの描きたいことを探り当てて、わたしは気づかなかった小説の良い点や悪い点を見つけてもらいたかった。ダメだと感じているところをダメだといって欲しかった。そうしてもらえるのではないかと期待して賞に参加したのですが、それは単にわたしの思い込みだったようです。


 レビューはほんとうに感心した(プラスにもマイナスにも)作品にしか書いちゃダメだ。「ここが推しです!」という推しポイントのないレビューは、虚しい。コメントやレビューでポジティブな言葉ばかりが飛び交うカクヨム は偽りのユートピアだ。そして「褒め合え。貶し合うな」と圧力をかけるサイトのシステムは、真実のディストピアだろう。

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