120カオス なぜ、あなたの小説はエタるのか

 小説がエタるというのは、ずいぶん奇妙な話だと思いませんか。え、奇妙じゃない? ごくふつうに見られる現象だ? そうですね、わたしが書いているものも二作ほどエタってますから、ごく日常的に目にしてるわけで、珍しいわけではありません。カクヨムには、たくさんのWeb作家の人たちがいて、わたしのような人もたくさんいるはずなので、少なからぬ数の小説がエタっていると思われます。


「奇妙じゃないじゃん」


 カクヨム ではね。


 少し考えればすぐ分かることですが、普通、小説というものはキリのいいところで終わるものです。勇者が魔王を倒すために旅立って、そのつぎの場面から何ヶ月たっても話が進まない……なんてことはあり得ないでしょ(笑)カクヨム をはじめ、Web小説には「導入部だけ書かれ、直後からエタっている」小説のいかに多いことか。書籍化された小説ではあり得ない現象で、「Web小説なんて素人の暇つぶしだろ」と馬鹿にされる所以です。


 そもそも「エタる」という言葉がまかりとおっていること自体が、エタる小説の根深さを示しているといっていいでしょう。わたしは、カクヨム に来てはじめてエタるという言葉を知りました。


 ――エターナル(永遠)に完結しない小説。


と気づいたときには、思わずひざを打ちたくなりました。


「なるほど、うまいこというな」


 こういう小説を書く人たちの心性が、どことなく「ヘタレ」なニュアンスも含めて伝えられる見事な造語だと思いました。わたしのスマホの中に、どんなにエタっている小説の芽があることか。


「見ろ見ろ、これがエタるってことだぜ!」


 自虐趣味はありませんが、見てもらってみんなの意見を聞きたいくらいです。

 

 そんな「エタる小説」をなんで書いてしまうのか、なんで小説はエタるのか。ちょっと考えてみました。

 小説のエタり方には、いくつかパターンがありそうです。その中から、わたしが過去に陥ったパターンに従って、少し考えをまとめたいと思います。


① 冒頭エタ

 小説の冒頭だけ書いてエタるパターン。わたしの場合、もっとも多いのですが、これは先行きの見通しなく(結末を決めずに)書き出したのが、原因であることが多いです。ラストシーンを頭に思い描けるネタに限って書きはじめることにすれば、冒頭エタは回避できそうです。


② 設定エタ

 小説の舞台設定や登場人物のキャラ設定の部分を描いただけでエタっているもの。中二的情熱で舞台設定とキャラ設定は書けるのだが、肝心の物語を回す箇所になるとエタるパターン。キャラが、あってもドラマがなければ小説ではないので、このエタに陥った場合は、舞台とキャラが生きるドラマづくりを心がけましょう。


③ 飽きエタ

 ある程度、物語を書き進めてはいるのだが、あるときを境にぱったりと書けなくなって、そのままエタってしまうというパターン。ドラマの展開上、自分の書きたくない物語を小説で展開しなければならなくなってくると、このエタに取り憑かれるかもしれません。物語には常に新しい表現や自分でも意外に感じる展開を取り入れるよう工夫しましょう。


④ シンエタ

 真エタは、物語を途切れさせることなく描き続けることができるが、いつまでたってもエンディングにたどり着くことのできないパターンをいいます。これの原因として、作者がどっぷり小説世界にはまり込んでしまい、こっちの世界へ戻って来られなくなっていることが考えられます。ある意味とても幸せな状態なのかもしれません。このエタから脱出するには、とりあえずいまの物語を第一部完結として、これまでのプロットも読者も、一度リセットする勇気が必要です。




 わたしの場合、④でないのは確かなので、①から③を検討の上、エタっている小説の続きを考えたいと思います。もう20日近く、一文字も進んでないんですよね。なんとかしないと……。

 

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