119カオス 息子の選んだ本

 最近、結構なペースで新しい本を買っているわたし。息子の読む本は、図書館で借りてくる本ばかりなので、たまには本を買ってあげようと、今日は息子とふたりして街の本屋さんへ。


 ――なんでも、好きな本を買ってあげるで。

 ――わーい🙌


 と、そこそこ喜んで本屋さんへ入ってゆく息子。大きな書棚のあいだをあちこち歩いて本を探します。


『さて、自分の読む本を探そうかな』


 ――お父さん。

 ――なに。


 お、もう買いたい本が決まったのかな。


 ――これ欲しい。

 ――……。


 息子が胸に抱えてきたのは、子供向けの昆虫図鑑。いい本だと思うのですが……。


 ――買って。

 ――でも……。昆虫図鑑ひとつ持ってるやん。

 ――これがいい〜。

 ――ええ〜。


 息子はもうすでに立派な昆虫図鑑(別の出版社)を持っているので、わたしとしては買ってあげるなら、もう少し別のジャンルの本がいい、息子の興味が広がるし使と思ったのです。


 ほかのミニ図鑑や、おなじ大判の図鑑でも「宇宙」を勧めてみましたが、息子は頑なです。「これがいい」と譲りません。


『マジか……』


 でも、考えてみれば、なんでも好きな本を買ってやると約束したのはわたしです。それに、大人のわたしから見ると昆虫図鑑でも、息子にしてみると、まったく知見を与えてくれる本かもしれません。


 息子にしてみれば、わたしがよく読む小説は、それが宮部みゆきの本であれ、小川洋子の本であれをみれば、「全部一緒では?」と考えているかもしれません。「いつも小説読んでる」とうんざり見ているのかも。


 ――しゃあないなあ。

 ――やった✌️


 息子は、買ってあげた昆虫図鑑🐜を喜んでみてます。本のジャンルを効能として、経済的価値だけ考えると、わたしのように小説ばかり読むことの値打ちはないのかしらと考えた休日でした。これでよかったんだよなあー?

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