103カオス ぼろぼろの本
わが家には、ほかの本と比べてぶっちぎり愛されている本が一冊あります。
『学研の図鑑LIVE 昆虫』(学研)
ま、平たくいうと小学生向けの昆虫図鑑です。小学二年生になる息子の愛読書。彼は大の昆虫好き。
男の子なので虫を怖がるようじゃだめだろうと、3歳くらいから近所の公園へ虫捕りに連れ出していたら、いつのまにか昆虫好きに。
カブトムシやクワガタはもちろん、普通ならだれも気に留めない道端や草むらにするあらゆる昆虫に興味津々。そんな息子の趣味にうちの奥さんは、青くなるやら赤くなるやら、わが家は大変なのです。
いま彼は、水生昆虫にハマっていて「ゲンゴロウを取りにいこう」とうるさい。いやいや、東京や大阪のようなわけにいかないにしても、うちも都会だ。近所でゲンゴロウを見つけるのは難しい。「ちょっと、ムリやから」といってかわしているところです。
ぜんたい、どうして子どもは虫が好きになるんですかね? 生まれながらに刷り込まれているなにかがあるのでしょうか。
息子が(そしてかつての私も)最初に興味を持った虫はダンゴムシです。「ダンゴムシ信仰」の洗礼は、子どもであればだれもが一度は受けるものでしょう? あの小さくて可愛らしいボディ。触るとまるまってしまう不思議な習性。子どもの目にはとても魅力的に映るみたいです。
宮崎アニメ『風の谷のナウシカ』に登場する巨大な虫、
息子が熱心なもので、私も夜公園にクワガタを探しに出かけたり、昼間はタマムシが飛んでいないか虫取り網を持っていったりと、夏の休暇は虫捕り三昧だったりします。
――お父さん、この虫なに?
採ってきた虫が、なんという昆虫なのか、私も昆虫博士ではないので、わかりません。私と息子は、採ってきたクワガタやカミキリムシを昆虫図鑑と引き比べて、なんという昆虫なのかを調べます。
――ノコギリクワガタやな!
昆虫図鑑は、大活躍です。それ以外にも、文字が読めるようになってきた息子は、ときおり得意げに図鑑の説明文を読んで聞かせてくれます。ひとりでじっと眺めているときもあります。買ってから三年ほど経ちますが、図鑑はどんどんぼろぼろになっていきます。
ぼろぼろになった図鑑を見ると「幸せな本だなあ」としみじみした気持ちになります。これほどぼろぼろになるまで読んでもらえるとは。作った人たちも、うちの図鑑を見たらとても喜んでもらえるのではないかと思います。
そして、私も本を作ることがあれば、こんなふうにぼろぼろになるまで読んでもらえる本を作りたいなあ――と思うのでした。
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