93カオス あえて反対のことを書いてみる
反逆の意思表明――。
三浦健太郎さんのマンガ『ベルセルク』は反逆のマンガだと思う。その内容は……
――中世ヨーロッパを下地にした「剣と魔法の世界」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を携えた剣士ガッツの復讐の旅を描いたダーク・ファンタジー。(Wikipediaよりコピペ。いつもお世話になっています)
冷酷で血も涙もない片目片腕の雇われ剣士ガッツの放浪と復讐の物語ですが、発表当時(1989年)は、「ダークファンタジー」というカテゴリーはなく、ファンタジーを主題にしたマンガ自体がメジャーなものではありませんでした。同年、ようやく週刊少年ジャンプで『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(原作 三条陸 作画 稲田浩司)の連載がはじまったくらいです。
1988年に発売されたファミコンソフト『ドラゴンクエスト3』により、オタク界隈のRPGブームは頂点に達しました。しかし、コミカルでほんわかしたドラクエ的ファンタジー観が広く一般に浸透していくなか、「いや、そうじゃねーよ。実際のファンタジー(⁉️)は、もっとグロくてヤバいはずだ」という違和感を抱くRPGゲーマーも一定数いたと思います。それを形を与えたのが、三浦健太郎さんの『ベルセルク』といっていいでしょう。
ドラゴンクエストの世界観をもとに描かれた『ダイの大冒険』と『ベルセルク』を比べると違いが際立ちます。正義感の強い熱血少年で生まれながらに勇者であることを宿命づけられているダイと、孤児として生まれ過酷な経験と裏切りにあって人を信じることのなくなったガッツ。ひと口にファンタジーといっても二人に見える風景はまったく違います。ガッツの世界はどこまでも過酷で救いがありません。
ドラクエ的世界観に対するアンチテーゼとして、キワモノ的内容だったはずの『ベルセルク』は、その後のバブル崩壊や日本経済の長期低迷という社会的な'“終末感”とマンガの陰惨な内容が絶妙にリンクした(私はそう思う)結果、多くの読者を獲得、今に続く長期連載となりました。
あえて、逆のテーマで書く。
ひとつのジャンルに同じようなテーマの作品が集中すると、やがてみんな飽きてくる。そこに新しい視点を提示する作品が現れて、ジャンルの地図が塗り変わっていく。マンガも小説も同じことの繰り返しです。みんなと同じことをやっていても、周囲に埋没してしまうだけなので、あえて反対の目に賭ける――ということも大事かなあと感じています。
『ベルセルク』を読んだ時は、頭をガンと殴られたようなショックを受けたものでした。「こんなのありか」と。ただ、時代の先をいっていた『ベルセルク』も時代に追いつかれ、飲み込まれてしまったようにも思えます。創作者として古びないというのは極めて難しいことなのだなと考えこまざるを得ないのでした。
……って、ほとんど創作してない私がどうこういうのは筋違いですね。失礼しました(汗)
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