92カオス 社会派ドラマは読まれない

 ――社会派は読まれないよ。


 何年か前のこと、某小説投稿サイトでこんなコメントをもらいました。


 ――藤光さんの小説は社会派だよね。でもそんなのはいまは流行らない。社会派は読まれないよ。


 社会派? 私の書く小説は社会派なのだろうか。『白い巨塔』みたいな?(どういうイメージだ……比較対象がビッグすぎるだろ)全然違うと思うのだが。


 『現実の社会問題に重きをおく傾向。また、そのような人。』(コトバンクからコピペ)


 むむ。むしろ私は現実離れした小説を書くことが多いような気がするけれど。「現実の社会問題」ねえ。


 やっぱり違う気がする。

 ただ、現実の社会問題に関心があるのは確かです。私の近況ノートを読めば一目瞭然(笑)ネットニュースから引用した記事にいろいろといちゃもんをつけている様子が読めると思います。これがまた、楽しいんだ!


 学生の頃は、社会問題にはまったく興味がありませんでした。他人事。私の半生を通じてそれはそうだったのですが、仕事に身を入れはじめてからですね。社会のありようにひと言いいたくなりはじめたのは。私自身が深く社会と関わろうしはじめたからかもしれません。


 小説で社会問題を正面からとらえて描くと、どことなく説教臭くなりはしないかと心配です。先にも挙げましたが『白い巨塔』とか『華麗なる一族』とか社会派ドラマって敬遠したくならないですか?


 私は軽薄な世相のなか成長したからなのか、重々しい文章より、素軽い文章を好みます。その方が私にとってリアルだからなのですが、社会のあるべき姿を小説に織り込もうと考えたとしても、『白い巨塔』の山崎豊子のように書いたりはできないでしょうね。


 私は、今ではないいつか、ここではない何処か、この私でない別の私を小説の中に描きたくて小説を書いているので、そういった内容を鮮やかに映えさせるために現実の社会問題を織り込むことはしているかもしれないですね。


 社会派ねえ。

 社会派小説って読みますか?

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