50カオス 5000円プレゼントされたらどうする

 奥さんから誕生日プレゼントをもらった。

 5000円分の図書券だ。


「図書券? なんで?」

「嫌なん?」

 疑問符に疑問符で返す奥さんは、これでは不服なのかと言わんばかりだが、もちろん不服があるわけではない。不審に思うだけだ。

「これはこれで嬉しいんやけど、なんで図書券なん?」

 誕生日プレゼントに図書券を贈るというのは、結婚式の引出物に商品券を選ぶのに似た後ろめたさがないのだろうかと思っただけだ。

「なに選んでいいか、わからへんかってんもん。本好きやろ?」

 引出物の心理もそうしたものだろうと思えば無理もない。ありがたくもらっておくことにした。以前、丈の短いパジャマを贈ってもらったことと比べれば、上出来ではないか? むしろ、夫の趣味を理解したよい妻といえるかもしれない。

「ありがとう」



 ……というようなことがありまして、5000円分の図書券(図書カード)をもっているのですが、さてどうしたものかと考えています。


 せっかくの5000円、せっかくのプレゼントなので、本を買うにしても新書とか文庫本とかマンガとか、「消費する本」じゃなくて「ずっと持っていられる本」がいいように思うんですよね。

 本としての有り体をいうと、ペーパーバックじゃなくてハードカバー。布張り表紙で函に入ってて、表紙や背表紙には題名が金文字で打刻してあって……。イメージですよ、イメージ。

 

 昔はそんな本がありました。実家の本棚にはハードカバーの本が多かったですもん。本棚に文庫本は少なかったですよ。

 いまの私の本棚にはハードカバーはあまりない。ほとんど文庫本。安いですからね。

 書店にもハードカバーは少ない。布張り表紙とか函入りとか見ます? 見ないですよね。

 出版社の商売相手と商法が、知的なエリートから貧乏な大衆に、一点豪華主義から薄利多売に転換していったことを示しているのでしょう。


 製本の方法はともかく、ずっと持っていられる本ってどんなのがありますかね。小説である必要はないんです。哲学書、思想書、社会学や政治学、経済学や法律の本だっていいんです。5000円で買えるお値打ち本はないでしょうか。


 自分で探せって?

 そりゃ、そーですよね〜

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