48カオス 男性が好きか、女性が好きか
私、女性が好きなんです。
え、いきなりなんだって?
決して変な人じゃないですよ。いや、変かな? ……たぶん変じゃないです(笑)
どちらかというと男性作家より、女性作家の作品の方が好きなんだ――という話です。そういう傾向に自覚があったりしませんか?
ここ1、2年色々な作家の本を読もうと頑張っているのですが、手が伸びるのも、印象に残るのも女性作家の小説が多いです。
宮部みゆき、小川洋子、綿矢りさ、上橋菜穂子、近藤史恵……女性ばかり。『月の満ち欠け』がとてもおもしろかった佐藤正午がひとり男性ですかね。
男性作家の書く文章が理屈っぽいのに比べて、女性作家の小説は情緒的? に感じるんですよね。
昔は平気でした――というより、なよなよとした小説より、理屈っぽい小説や武張った小説の方が好みでした。アシモフやクラークのSF、吉川英治とか海音寺潮五郎、司馬遼太郎の歴史小説なんかを読んでしました。
潮目が変わったのは、藤沢周平が好きになったころかな。藤沢周平の時代小説には、えもいわれぬ“滋味”があるんです。“影”というか、“さみしさ”を背負ったような。文章に情緒を求めるようになったのは、そのころだと思います。
さて、女性作家の話でした。
どうも気になってしまう作家さんがひとりいるんです。宮下奈都さんです。
本屋大賞の『羊と鋼の森』は、いまいちに感じられたのですが、『喜びの歌』という傑作があり、私の中で燦然とかがやく作家さんなのです。
宮下さんについて、私は一方的に、主婦の方が作家をしている――って思い込んでます。
実際、宮下さんは主婦でもあるわけですが、イメージでは「主婦が小説を書いている」感じ。小説家にありがちな「小説家が主婦をしている」のではない――あくまで私のイメージ。そして、そこになんだか胸がざわつきます。
勤め人である私が小説を書いている――と、勝手に私がダブらせて、勝手に意識しているわけです(図々しい!)
そう思わせてしまうような「普通っぽさ」が宮下さんの小説にはあるんですよ。思わず膝を打つようなどんでん返しがあるわけではないし、目からウロコが落ちるような見事な比喩を使うわけでもない。ごく真っ当な言葉の積み重ねでしかない(『羊と鋼の森』は本当にそんな感じ)。
そこに私は自分が書く小説のヒントがあるような気がして、宮下さんの小説を読んでしまうんです。
ま、普通っぽく見えるだけで、洗練された言葉の選び方がしてあって、真似するのも容易でないのですが……。
こんな風にだれか作家さんを意識することってありますか。男性と女性、どっちが好きですか? もちろん、作品の話ですけど。。。
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