28カオス 私の幻想(ファンタジー)遍歴③
上橋菜穂子さんの描く『守り人』シリーズの第1作は『精霊の守り人』です。ぶっちゃけ私にはそんなにおもしろい小説とは読めませんでした。でも、タイトルがすごくいい。とても「新しい」と思いました。いままでにない設定をもったファンタジーだと。
そうそう、私が読んだのは新潮文庫版の『守り人』シリーズです。
なかなかいい雰囲気をもったファンタジーだなと手にとった第2作『闇の守り人』。これがすごかった。傑作!
シリーズものは二作目で決まる。
ドラゴンクエストは『ドラゴンクエストⅡ』が傑作だったから、いまに続く国民的RPGになったのだし、ファイナルファンタジーだって『ファイナルファンタジーⅡ』の路線が大ウケしたから、ナンバリングタイトルだけで十五作も作られたのです。
『守り人』シリーズも、第2作『闇の守り人』が児童文学の枠を超えた読者(大人の読者)を獲得したことが、シリーズ化を決定づけたと思います。
第1作はぎこちなかった。1作目の難しさ(世界観の提示)があって、物語も消化不良でしたが、そこから解き放たれた『闇の守り人』は「人の
特に終盤の筆致は圧巻で、これを書いていたときの上橋菜穂子さんは、小説の神さまに憑依されてたんじゃないでしょうかね(笑)
上橋菜穂子さんでは『獣の奏者(闘蛇編、王獣編)』もよかった、すごく。『闇の守り人』も超えている。おすすめのファンタジーは? と訊かれたら、『獣の奏者』を推したい。傑作。
『鹿の王』は読んでないです。読んでしまったら「どんな小説だろう(ワクワク)」っていう感じがなくなってしまって、もったいないじゃないですか(笑)
――「異世界ファンタジー」についてつらつら書いてきてふと気づいたことがあります。
水野良『ロードス島戦記』
小野不由美『十二国記』
上橋菜穂子『精霊の守り人』
異世界ファンタジーのエポックを作ってきた作家は、同年代なんですよね。60年から63年生まれ。そして測ったように、88年、89年にそれぞれデビューしてます。
それぞれの作品がヒットした時期にずれはありますが、そのことが尚更、「ファンタジーの黄金世代」を印象づけているように思えます。日本の異世界ファンタジーを開拓し、いまも牽引し続けている人たち。彼らのファンタジー小説を最初期からいままで、ずっと見続けることができている(読めている)私は幸せ者なのですね、きっと。
なんてことを考えながら、ネットに溢れる「異世界ファンタジー」を眺めていると(読みはしない 笑)、なんだか微笑ましい。若い頃の私が読んでいたファンタジーと毛色は違うし、感性も異なるのですが、確かに繋がっているものがある。ワクワク感? 憧れ? 言葉はどうでもいいですが……。
がんばれっ
て応援したくなります。書いてる人に対してはもちろん、読んでる人に対しても。おじさんの感傷でしょうか(笑)
がんばれっ!
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