22カオス ラノベの未来

――「◯◯」という小説に感銘を受けました。


――「△△」に出会って作家を目指しました。



……なんて書かれている方が、カクヨム作家さんの中におられます。


すばらしい読書体験だと思いますし、私にも似たような経験があるので、その気持ちはよく分かるのですが、一方で「なぜ、その小説なんだ?」と疑問に感じることもあります。


だれもが名作とか定番と認める文芸作品なら(たとえば「人間失格」とか「山月記」とか「檸檬」とか……)、あ〜〜そういうカテゴリの人ねと納得しますが、これがラノベだったりすると、「ラノベに感銘を受けたの?」と思ってしまったりします。


いかにもラノベをばかにしたようで、すみません。言いたいことは、ラノベをばかにすることではなくて、まだ評価の定まっていないジャンルの小説に感動した――っていうのは、丁寧にその理由を説明しないと、ばかにされかねないですよということが言いたいのです。


Web小説やラノベがこれだけたくさん読まれているということは、それだけたくさんの人の心を捉えたということが言えるわけで、当然、感動したとか感銘を受けたという人も大勢いるのです。


ただこれらの小説は、新しいジャンルの小説なため、世間の評価は定まっていません。四十年くらい前のマンガの立ち位置がいまのラノベとよく似ているのではないでしょうか。


――マンガなんて子供の読むものだ。


幼稚なカルチャーとしてばかにされていたのは間違いありません。ラノベなら、さしずめ「オタクのカルチャー」でしょうか。


この四十年の間に、質の高い作品と読者を獲得したマンガの社会的地位は、格段に向上しました。


いまでは名作とされるマンガを引き合いに人生論を語ったところで、さほど違和感を感じません。感動したと話しても共感してもらえることが多いでしょう。


いずれWeb小説やラノベもそうなるのでしょうか。そのためにはマンガと同じく、質の高い作品と、質の高い読者が――丁寧に書き込む作家とそれを批評する読み手が必要になるでしょう。


それは、ここ――カクヨムのような場所に違いありません。

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