かみさま。
こけた。いたい。膝を擦りむいてしまった。
もういいや、僕は今日から空を見て暮らそう。
顔も輪郭もぼんやりとしているそれは、神様だった。
それは宣言通りその場に寝転がると、空を眺めて過ごし始めた。
それからしばらくすると、それは空に違和感を覚えた。
見覚えのある雲が、さっきとは反対方向に流れてゆく。
太陽は西から東へ動き、小鳥はお尻から飛んでいた。
なるほど、どうやら僕が怪我をしたせいで時間の流れが逆になったらしい。
だが、それは大して気にしていなかった。
それどころかそれは、空腹を気にしていた。
いや、神様であるそれは食事を必要としないので、正確には空腹なわけではないが、それは何かしらを食べることを欲していた。
そうだな、次に僕の上を通ったモノを食べよう。
そう言ったそれの上を通ったのは、過去のそれ自身だった。
それはそれを食べてしまった。
それは消滅した。
そして世界も消滅した。
動名詞 鶏心 @teratoki_keisin
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