第三十五話 五階層 2
ゴブリンキングと私の戦闘開始。
今度は一対一。
「筋力強化、防御力アップと速力アップ付与。雷速」
能力アップ系の魔法を使う。
構える刀は二本。一つはパパからもらった刀を右手に、左手には雷刀を握る。
「フライ」
風魔法のフライもあらかじめ掛けておく。
正直四体の精霊までしか憑依させられない状態で倒せるのか少し不安。
でもそんな事を言っていられない。もしここで私一人が逃げたら他の皆が死んでしまう。
だから、
「行くよ、デカ物」
その言葉と同時に地面を蹴りゴブリンキングの元へと近づいていく。
だが、ゴブリンキングも簡単に懐には入れてくれない。
棍棒を持っていない左手で殴ってくる。
「切れ味アップ、強度アップ、効果二倍」
二本の刀に付与魔法を掛ける。
こちらに向かってくるゴブリンキングの左腕を剣で切り裂く。
だが元々の防御力が高く表面を切り裂く程度。
横から棍棒が向かってくる。
速度がかなり速い。
私はゴブリンの左腕を蹴って棍棒を避ける。
だが空中で耐性を立て直すのに少し時間がかかってしまった。一秒か二秒ほど。
ほんのわずかな時間、一階層にいたゴブリン立ちなら問題なかっただろ。
だがこいつはボスでかなりの巨体の割に動きが早い。
体勢を立て直したときには目の前にゴブリンキングがいた。
「しまった!」
思わず声が出てしまった。それと同時に中級ダンジョンのボス戦を思い出した。このままの状態ではあの時と同じ状況になる。
すぐに地面に降りてアキさん達の居る方向と反対側に移動する。
「堅いな~!」
まさか付与魔法を掛けた刀が二本とも取らないなって思わなかった。
ゴブリンキングはアキさん達の方には見向きもせずにこちらに視線を移す。
休憩する時間も与えてくれないの~。
「ミレイ様来ますよ!」
その言葉の通りゴブリンキングがこちらに向かってきている。私は目の前に大きく薄い結果を張り動きを止めようとする。
だが結界はゴブリンキングの衝突と同時に壊れてしまい足止めをすることすら出来なかった。
「サンダーショット」
複数の雷の弾を放つ。多少はダメージを与えられると思うがその期待はすぐに裏切られる。
魔法を受けたゴブリンキングは何もなかったかのような顔をしている。
「うそだ~!」
思わずそんな事を叫んでしまった。
確かに耐性はすべて消している。なのになんで魔法が聞きたいの。
――フレイゴブリンキングに弱点はないの?
「分かりません。ですが少し時間をいただけるならお調べも出来るかと」
――分かった。それなら。
「フレイ解除、アクア憑依」
フレイにはゴブリンキングの調査をお願いするために一度憑依を解く。その代わりにアクアと憑依をする。
「アイスフィールド」
この魔法は、部屋全体を凍ら須子とが出来る魔法。それと同時に周りに氷を操ることが出来る。
部屋が凍った事によりゴブリンキングの動きが少し鈍くなる。
私はゴブリンキングの足下の氷を操り足下を凍らせて完全に動きを止める。
そして、私は靴に氷を纏わせてスケート靴のような物を形作る。
下とが滑りやすくなっていたがこの靴なら問題なく移動できる。それと同時に雷速で移動速度かなり上がっている。
動きが止まっている今が最大のチャンス。
私は一瞬でゴブリンキングに近づき切りかかる。
キーン!
刀がはじかれた。
先程、浅くとも十多はずの刀が今は通らずダメージを与えることが出来ない。
「どうなってんの!」
攻撃を与えながら思わずそんなことを言ってしまう。
「ミレイ様。多分これはゴブリンキングの硬化の魔法かと思います」
――そんな事出来るの?
「はい! Sランクダンジョンのモンスターに魔法を使えるモンスターも存在するようです」
――そう言うことは早く言ってよ!
さすがに困った。
私が少し考えていたそのとき横から棍棒が向かってきた。
気づくのが遅れた私は、攻撃をまともに受けてしまい壁に激突する。
「ヒール」
最低限の回復魔法で傷を癒やす。最初に掛けておいた防御力アップの付与がなければ少しやばかったかもしれない。
すぐに体勢を立て直したところで、
「ミレイ様! ゴブリンキングの弱点を見つけました」
フレイから報告を受けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます