第三十三話 アキさんが怖い
皆の視線が痛い。
「ミレイお前は一体何者なんだ?」
やっぱり聞かれるよね。
「お話出来ません」
そう答えるしか私には出来ないのだから。これで納得なんてしてもらえないだろうけど。
「リーダー、冒険者秘密を聞くことは御法度よ」
アキさんがかばってくれた。
「だがな俺が見たミレイの冒険者カード書いてあった物とは明らかに今の違っているんだ」
しまった~! グレイさんには昇格試験の時に私の冒険者カードを見られていたんだ。
「ミレイ、あんた冒険者カードを見せたの!」
「はい」
それ以外答えようがなかった。
見せたのは事実なんだから。
「冒険者カードは絶対に他人に見せてはいけない物なのよ」
「はい」
「完全な個人情報の塊。もしその情報を悪用でもされたり、カードを返してもらえなかったどうするつもりだったの」
何も言えないよ。
怒らすとアキさんがこんなに怖いなんて。
「すいません!」
思いっきり頭を下げて謝る。
「リーダーもいくら冒険者カードを渡されてからってなんでみてるの、そこはきっちりと注意しないとダメでしょ!」
「面目ない」
でも確かあの時グレイさんから見せてと言われら気がする。
今それを言うと今以上にアキさんを怒らし兼ねない。
そして私達は正座をさせられてアキさんのお説教を聞くことになった。
アクアがフレイに怒られている時も気持ち少し分かったような気がする。
「これからは気を付けるように」
しばらく続いたアキさんのお説教も終えた。
「はい!」
「申し訳ない」
最後に二人で謝り今回の件は一件落着となった。
「すまなかったな」
とても申し訳なさそうに謝られる。
こちらも申し訳ない気持ちになってくる。
「いえいえ、でも私の事についての詮索はこれからもお控えいただけると助かります」
「ああ、分かっている。それから、今後は簡単に冒険者カードを他人に見せるなよ」
「はい」
これでグレイさんとのいざこざもなくいけるかな?
「それはそれとして、ミレイさん!」
「はい!」
こんどはなに? もう怒られる事なんてしていないはずなんだけど。
「一人で突っ込んでいかないでください」
「??」
何の事?
「さっきもそうですし、その前の時もそうです。私とても心配したんですよ」
確かに私一人でゴブリンに突っ込んでいったな。
「ごめんなさい」
「それに、もしもの事があったらどうするんですか!」
「アキの言う通りね」
アキさんの言葉に賛同するメリッシュさん。
「あなたはまだ冒険者になって間もない十歳の女の子。もうちょうっと大人で先輩の冒険者である私達に頼って」
「はい」
確かに二人の言う通りだね。私は、二人を守っているつもりだったけど心配させちゃダメだよね。
「分かってくれたならいいけど、これからは一人で無茶はやめてね」
「分かりました」
「いい子ね」
メリッシュさんに頭を撫でられた。
最初は怖い人なのかなと思っていたけど本当はとても優しい人なんだ。
「それにアキを怒らせちゃダメよ。あの子怒ると誰も逆らえなくなるから」
耳もとでそんな事を言われら。
確かにさっきアキさんから怒られているグレイさんその時に皆さんはの顔を思い出し納得してしまう。
「そうみたいですね。気を付けます」
そんな事をいいながら二人で笑ってしまった。
「二人とも何笑っているの?」
「何でもないよ」
「何でもないで~す」
メリッシュさんと声がハモった。
それから、すぐに三階層への階段を探して行動を再会した。
階段につくまでの間ゴブリンとの遭遇は二回程合ったが、六人で連携を取る事で難無く倒していく。
一階層の時と違い、私がメインアタッカーを務めている。
これはグレイさんからの指示でこうなった。
他の皆もその指示に反対することなく決まってしまったのである。
「ミレイ様」
突然フレイが話しかけてきた。
――どうしたのフレイ?
「ミレイ様の力が皆様にばれてしまいましたがどうするおつもりですか?」
――そうだね。どうしよっか。
私は無邪気行ってみる。
「そうなことだと思いました」
少しあきれた声で言うフレイ。
――でも皆さんなら大丈夫だと思うよ。それにもしもの時は私も覚悟は出来てるから。
私は力強く言う。
「そうだぜフレイ。俺達の主様を信じようじゃね~か」
「そうだよ」
――二人ともありがとう。
などと精霊達と話してい間に三階層への階段に到着した。
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