第二十七話 S級ダンジョン
ダンジョンの中に入ってすぐ扉が閉まった。
ダンジョンの扉が勝手に閉まることは基本ない。
「今、入り口の扉閉まったよね」
「ああ、閉まった」
皆、一斉に入り口に近づき開けようとするが、
「入り口開かないよ。これどうなってんの?」
「どうなってるんだ!」
焦りが見え始める。
だが一人だけ皆が焦っている理由が分からない者がいた。
そうミレイである。
「どうして皆さんそんな焦っているんですか? 入り口が開かないくらいで」
「ミレイ、ダンジョンの扉が勝手に閉まらないことは知ってよな?」
「そうなんですか? 今初めて聞きました」
そして皆ミレイが冒険者になってから日が浅いことを思い出した。
冒険者でダンジョンのよく潜っている者なら一度は聞く話だが、まだ冒険者になってから日が浅かったミレイは聞いたことが無いのであった。
「ダンジョンの扉が勝手に閉まることは基本無いのよ。一部のダンジョンを除いてはね」
「一部とはどんなダンジョンなのですか?」
何も知らない私にに説明すしてくれるメリッシュさん。
「S級ダンジョンよ。この世界中心都市サンシャインにのみ存在すると言われているダンジョンよ」
サンシャインとはこの世界最大の都市にして世界で初めてダンジョンが誕生した場所とされている。
「でもどうして入り口の扉が勝手に閉まったらそのS級? ダンジョンになるのですか?」
「それはね。初級・中級・上級ダンジョンの扉は入り口にいる門番の人達が毎回閉めているの。そしてそこを通しての外中の行き来は自由なんだけど、このS級ダンジョンは別で入り口からは外に出ることは出来ないの」
「ではどうやって外に出るのですか?」
「五十階層のボスを倒すか、百層まで攻略することで外に出られるの。だけどそれを成し遂げたの世界に一人しかいないけどね」
その話を聞き皆が焦っている理由をようやく理解した。
「それにだ。このS級ダンジョンに出てくるモンスターの強さは他のダンジョンと比べものにならないくらい強いと言われている」
「そのくらいなんですか?」
「噂で聞いてだけだが中級・上級クラスのボスと同じくらいだそうだ。それが集団で襲ってくるらしい」
グレイの話しを聞き顔を青くする他のメンバー達。
「それでも動かないと、先に進まないと状況は何も変わらないですよ」
「……」
ミレイの言葉に対して何の反応返ってこない。
「分かりました。でしたら私だけでも先へ進みます」
それだけ言って奥へと進んでいく。
――皆リミッターBランクまでよろしく。
「了解でございます」
「分かったぜ」
など精霊達から返事が返ってくる。
すると、
「待ってくれミレイ」
グレイさん達五人が追いかけてきた。
「私達も一緒に行くわ」
「ミレイちゃんだけを先に行かせて私達だけあの場所いるなんて出来ないわ」
「おおよ、先輩らしいところ見せね~とな」
「危険な所に嬢ちゃん一人を行かせられないだろ~が」
心の中にはまだ不安があるにもかかわらずミレイの前で笑顔を作っている皆。
「お願いします!」
感謝の気持ちを込めて頭を下げる。
よかった。皆が来てくれるって信じてたよ。
心の中で思っていた。
それからは陣形を組んで進み始めた。
先頭は盾役のアルさん、その後ろに剣士のグレイさんとキリさん、後ろに私で、最後尾に魔道士のアキさんとメリッシュさんと言う並び。
後ろにいる私達三人は進んでいる中いろいろな話しで盛り上がっていた。
話して見るとメリッシュさんはとてもいい人で話し安かった。
それなので、
「メリッシュさんどうしてマスター室で私に突っかかってきたのですか?」
前を歩く男性メンバーに聞こえない声で聞く。
その質問に対して顔を赤くしながら、
「ミレイがグレイと凄く仲良く見えたから」
全てを理解した。
「誤解させてごめんなさい。でもメリッシュさんがグレイさんの事をなんて」
にやけが止まらない。アキさんの方を見てみるとため息をついていた。
「メリッシュさっさと告白しないと誰かにグレイを取られるわよ」
「別に私、グレイの事なんてなんとも思っていないんだから」
顔を赤くしながらそっぽを向くメリッシュさん。
「お前ら何してるんだ?」
グレイさんが事らを見ながら言ってくるが、
「何にもしてないですよ」
にやけ顔で答える。
「ミレイ気味が悪いぞ」
「へ~そうですか?」
「まあいいが、気を抜くなよ。いつ何処でモンスターに襲われるか分からないんだからな」
「は~い」
三人声をそろえて返事をする。
そんな時、
「ゴブリンが一体いるぞ!」
先頭のアルさんからゴブリンの発見が告げられた。
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