第二十六話 出発

 何故か今回のダンジョン調査の一員に選ばれたミレイ。


「六人にまさかミレイもメンバーに入っているのか?」


 グレイさん私の気持ちを代弁してくれてありがとう。


「それはお前が一番分かっているだろう」


「そうだな」


 歯切れ悪く答えるグレイさん。


 どういうことですか! まさかグレイさんが何かしたのですか!?


 心の中でそんな事を考えているが声に出せないミレイ。


「今はそのことよりもだ。今回のダンジョンもしかすると人為的に生まれた物かもしれんのだ」


 それからギルドマスター近くの街での出来事を話してくれた。


「まじかよ。まさか人がダンジョンを生み出すとは驚きだ」


「でもそれじゃこれからも同じようなことが起きる可能性があるって事かしら?」


「そうなる。お前達に頼みたいのはダンジョン調査とこの一件犯人を見つけて欲しい。出来ればでいいがな」


「わかった」


 私は置いてきぼりですか!


 心の中で突っ込む。


「グレイ、なんでそこの子供も一緒のパーティーなの? どう見てもEかDランクにしか見えないんだけど! 足手まといにしかならないわよ」


 一人の女性が私を指さしながら言ってくる。


「メリッシュ、人を見た目で判断するじゃないぞ。そこにいるミレイは二週間目に冒険者登録したばかりだが、たった二日でCランクに昇格したゴールデンルーキーなんだ」


「そうなんだ~」


 こちらを睨んで来るメリッシュさん。


「自己紹介が遅れて申し訳ございません。Cランク冒険者ミレイ=サルシャ十歳です。よろしくお願いいたします」


 頭を下げながら挨拶をする。


「よろしくね~。私は魔道士をしてるアキよ、よろしくね。それとさっきあなたに突っかかっていたのはメリッシュ。同じ魔道士なの」


 少し小柄でスタイルがいいアキさん。少し怖いけど出るとこは出ていて髪が長いメリッシュさん。


「俺はアル盾役をしている」


 とてもがたいがよくひげを生やしているアルさん。


「俺っちはキリだ。剣士をしている。よろしくな」


 髪を金色にそめていて少しチャラそうなキリさん。


「はい! よろしくお願いいたします」


 簡単な自己紹介がおわった。


 打ち解け合えたとは思えないけど、メリッシュさん以外とは仲良くやっていけそうだと思った。


 私達の自己紹介が終わると、早速ダンジョンに向けて出発となった。


 商業区で食料を買い込みダンジョンに向かう。今回のような調査依頼のときは何日間か連続で潜り続けることになる。そのため保存食系の食料をある程度買い込んでからダンジョンに向かうのである。


 それと回復役と魔道士ように魔力回復役も買い込んでおく。


 これらの準備にかかる費用は全てギルド持ちなのである。


 ある程度食料などの買い込みがおわりダンジョンに向けて出発する。


 場所はギルドマスターの調べで分かっているため探し回ることはなかく目的のダンジョンへと到着した。


 外見は初級や中級ダンジョンと変わらないように見える。だが今回のダンジョンの入り口には門番の人は立っていなかった。


「皆覚悟はいいか? これから入るのは未開のダンジョンまだ名インドも設定されていない。とても危険な場所かも知れん。それでも挑戦するか!」


「おお、いいぜリーダー!」


「いきましょう」


「行こうぜ」


「はい!」


 各々に声を上げる。


 そしてダンジョンの中へと入っていく。








「ふふふ、入っていきましたね」


 二週間前にミレイと擦れちがったローブの女性がミレイ達の事を見ていた。


「どの子なの?」


 二週間前にいなかった精霊が一人増えている。


「あの子よ。白い髪の女の子、まだ十歳位かしらな」


「見つけた見つけた。可愛い子だね。それに七体の精霊が近くにいるよ」


 ミレイを見つけてはしゃいでいる。


「そう~ね。本当に可愛い子」


「あの子が、あなたが探している子なの?」


「まだ分からないわ。だけどもすぐ分かるわ、このダンジョンを無事に出てくることが出来たらね」


 女性の顔に笑顔が見えた。


「そ~ね。どうしようかしら? あの子の今の実力だと瞬殺しちゃうしね~」


 少し考える。


「それはあの子が無事に戻ってこれてから考えたらいいんじゃないか?」


「それもそうね」


 ミレイ達を見ながらそんな事を話しているのだった。

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